ククルス・ドアンの島がプライムビデオに来ていたので つい全部見てしまった。これまでのガンダムの中でも 一番良かった。
初代ガンダムで作画崩壊を起こしてた回「ククルス・ドアンの島」が、あまりに酷く、このままじゃ心残りになって死ぬに死ねないっていうので安彦監督が自ら提案して 映画でリメイクになったっていう夢のある話。
ガンダムの産みの親の一人である安彦監督はそもそも今から80年くらい前に 北海道北東の開拓地で生まれている。5人兄弟。荒れ地で育つ大家族っていうので、なんかドアン島の子どもたちとかぶる。
そんな所にシャアに匹敵するジオン軍の天才パイロット ドアンがやってきて面倒を見ることになるっていう設定。
んで、今ロシアでは 無能のギレンみたいなのが「ロシア人なら戦え」みたいな事を言ってるんだけど、これからロシア兵の中にも、大怪我して一生ウクライナ側で暮らすことになる人が出てくるんだろうし、中には ウクライナ側について ロシア兵と戦うドアンみたいな兵も出てくると思う。
ドアンは 子供の親を殺してしまって それで戦争孤児の親代わりになる。いや、そんな展開あるかよとは思ったんだけれども
ドアンが孤児の面倒を見るのは 重要な意味を持っている
実際ロシアでは若い男が戦地に送られているので、既に片親になった子供たちが出てきていて、将来的にロシアでは非行と犯罪率は急上昇して 数世代にわたって貧困の連鎖が始まるのは もう不可避になっているそうだ。
だからドアンが 子供の面倒を見るということ自体が 実はジオンがやっている戦争の連鎖を断ち切るという意味で 重要な意味を持っている。
戦争を兵器の力で止めるんじゃなくて、人類の意思で止めてみせようじゃないかっていう決意だったりもするんだろう。
この作品が安彦監督の最後のガンダム作品になるらしい。最近のアニメ作品は メッセージ性なんて持ってないのが殆どなんだけど、なんかこの作品は 最後に作り手の願いみたいなのが見えて泣きそうになる。
安彦監督は 最後にモビルスーツという兵器に一定のけじめを付けて終わらせている。子供のために兵器の要らない世界を作っていくのが大人の役目だろうと。
もちろんガンダムで戦争抜いたら 成り立たないわけなんだけれども 敢えて自壊させることが、40周年の集大成でもあり、安彦監督とのお別れでもあり、そこに夕日なんかも混ざり、とても綺麗な終わりだなと思って感無量。
いや まさかガンダムで泣くとは思わなかった。