ツチヤタカユキさんを芸能界の裏方的な存在とすれば、鈴木拓さんはお笑い芸人としてバリバリの表舞台に立つ人
この本にはキワモノ・ツワモノが集まる芸能界の中で、彼が人間関係をどううまく転がしてきたのかという秘伝みたいなのが書かれています。
著者について
ドランクドラゴンのツッコミでメガネを掛けている方。ちょっとイメージ的には森山未來に似てなくもない。
一番おかしくて悲惨だったのはサッカー部時代の話
中学高校の6年間、サッカー青年だった鈴木さんは朝から晩まで誰よりも長く自主練していた。
普通の少年マンガだったらここから才能が花開く展開だけど「キャプテン拓」の場合はまったく開かないまま、最後の公式戦がやってきた。
最後の試合は3年生の引退試合みたいなもんだから、野球でもサッカーでもそれまで頑張ってきた三年生が出されるって話はよく聞く。
そんな感じで次々と3年生の名前が呼ばれて、鈴木さんの番が来た。
「よし!拓!」
「はい!」
「ちょっと俺の肩もんでくれ」
こんな感じで6年間一生懸命練習したけど、一回も試合に出れなかったと。
普通の本だと、ここから「出れなかったけど頑張るのが大事だよ」みたいな話になっていくけど、鈴木さんはそうはおもわなかったらしい。
でも、涙流しながら監督の肩揉んで気づいたんです。「あぁ…俺はただ、〝努力している〟という行為に逃げていただけなんだな…」 だからハッキリ言えます。 才能がない者は努力したってムダです。 センスのない者は努力するな、です。
(鈴木さんの身長は167cm、体重60kgと小柄で性格も前に出ないタイプです)その後は
失われる大事な時間や体力を、自分にあった道を進むのに使った方がずっといいです。 自分の進むべき道って、案外、立ち止まった時に見えてきます。
と締めくくっています、さすが一線で活躍しているだけあって高校時代でも自分を客観的に見る視点がシビアです。
ちなみに高校を卒業した鈴木さんは、この後に人力舎のタレントの養成所に入って3年後にドランクドラゴンを結成しています。
この本の効能
テレビでは時間が決まっているし、視聴者が求めてる事を見せないとといけませんので、出演者がどんな事を考えているのかまでは伝わって来ません。
しかし、この本を読むと彼が、いわゆるクソみたいな先輩や上司のアドバイスをどんな風に受け流しすのかとか、悪口に対して自分が嫌われないようにどう面白い返しを考えるのかなどのヒントが見えてきます。
全て体験に基づいているのでわかりやすいです。
皆さんも、この本に書いてあることを試さないまでも、思いながら仕事したり、生活してみてはどうでしょうか。 ひょっとしたら、これまでの生活が、生き方が、少しはラクになるかもしれません。
もしくは、地獄のように嫌われるかもしれません。 …いや。 やっぱり僕の言うことなんて聞かなくていいです。
プロならではの切り返しが楽しめる面白い一冊だと思います。