シェンムー3の「街」は今後のRPGを変えるかもしれない【レビュー】

世の中にあるほとんどのRPGにはタイムアタックがある。

誰が始めたのかは知らないけれども、「俺はこんなに早くクリアしてやったぜ」というスピードを競う祭典。

でもシェンムーでタイムアタックをやると、多分 魅力がなーんも分からないまま終わる。

ちょうど山を登るのに 車で登っても思い出に残らないのと一緒で、シェンムーは速くいったほうが勝ちというもんじゃなくて、ゆっくり行ったほうが勝ちだ。

ここにこんな人がいて、こんな所にあれがあってという、微妙な発見をたくさん楽しめる人の方が飽きない。

シェンムー3は1987年の中国の田舎が舞台で のどかな農村。元になったのは桂林らしいれども 今の桂林は発展しちゃってて こういった景色はどこにもない。

87年はこんな感じだったのかもしれない。なんか服装もシンプル。正直見ているだけでも和む。

村の広場では子供が太極拳をやっている。5~6歳だと思うけど 近所でやってる ばあちゃんよりうまい。中盤の舞台の鳥舞にしても どこか懐かしい感じを漂わせている。

この太極拳の動きも 多分 本場の動きなので 見ながら一緒にマネしてみると楽しい。

徹底的にロケハンしているので どこか現実とリンクしている所も普通のRPGとは違う

モブキャラに生命が宿る

シェンムー3には村人にもそれぞれに名前があって 同じ人がいない。話す内容も違っている。この女の子は拳法に興味があって 拳法を見せて欲しいギャル。

なんかスピニングバードキックとか できそう。

そんでもって 子供はかくれんぼがしたい。

この人は 見た目はホンジャマカだけどいい人。

シェンムー3は 自分のペースでウロウロできて、いろんな人と会話して、その中の集団に溶け込んでいく過程に良さがあるように思う。

村にやって来る時は 完全によそ者あつかいされてさびしいけれど、村人を助けたり 話していくうちに 呼び名も「涼ちゃん」に変わってくる。

最初に受け入れてくれるのが子供。この辺リアリティがあっていい。

ほんで、普通のRPGは 新しい村についたら タンスとつぼを荒らして、バイバイするのがお約束。短い滞在だし 村人の名前すら覚えない。

でもシェンムーの場合は長く滞在する。1日めは修行、2日めはギャンブル、3日めは草集め、4日めは釣り。 5日めはまき割り。6日目はガチャという感じで全然 進まない。

そのうちに 村人に仕事をもらったり、拳法教えてもらったり 悩み相談したりする。モブの人と仲良くなる。

こんなに 村人に助けられてる感じがするゲームは多分そんなにない。

シェンムー3 からグリードアイランドへ

シェンムー3はドラクエやFFが迷い込んだ RPGとはこうあるべしというものをぶっ壊して、違う道を開拓したように思う。

シェンムーは消費するRPGではなくて、中国を旅するRPGだ。

そのへん ピラミッドに登れるアサシンクリードオリジンや パルテノン神殿をうろうろできるオデッセイに似ている。

鈴木さんのチームは建物の寸法や構造物同士を測量したり、ゲーム内の家を作る時も建築士の方が関わって寸法を決めている。

ドリームキャストに比べるとハードは150倍くらい進化していて、アンリアルエンジン4で緻密な絵が再現できるようになった。

売店のモブキャラでも綾瀬はるかみたいに普通にかわいい。

鈴木さんによれば 声付きのサブキャラには 全員生活パターンがあって固有の動きをするらしい。

生きている街を生み出したシェンムー3

22世紀のRPGを想像すると、 恐らくその頃には一人のキャラクターに固有の人工知能があって、それぞれのNPCキャラクターが 実際の人間のように1日を過ごすようになると思う。

NPCキャラクターの動きは 実際の人間の動きを機械学習で学ばせて 1000人を超える人がうろうろする巨大都市みたいなものが出来るだろう。

たぶんレディ・プレイヤーワンみたいな大型都市RPGが出てくる。

NPCも夜になったら寝るしトイレにも行くし、風邪引いたりもするし、特定の時間しか出てこないといったように。

ウルティマやウィザドリィのように シェンムーもまた 未来から見た時に 「シェンムーの頃から…」と言われる 伝説のゲームになるような気がする。

シェンムー3は 個性のあるキャラを多く動かすことで 生きている街を生み出した。

鈴木さんはシェンムー4を作る気満々のようだ。3だけでも十分頑張ったと伝わってきたけれども、4が出る出ないに関わらず長生きしてもらいたい。

私が買ったシェンムー3も4の開発資金の足しになればと思っている。

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