ジョジョ6部はなんで面白くないのか。大体プッチのせい。

ジョジョ6部はネットフリックスで独占配信しているらしい。12話まで見たけれど、6部アニメは表現が面白かった。でも原作の6部はストーリーが尻下がりに面白くない。特に最終巻はひどい。ジョジョ6部はどこが失敗だったのかを自分なりに整理してみた。

目的が定まらない主人公

2部と3部は空条家のご先祖の仇であるディオ・ブランドーをぶちのめすという目的があった。4部は 街の変態殺人鬼 吉良吉影をぶっ飛ばすという目的があったし、5部はボスをぶっとばして秩序ある裏社会を作りたいという思想があった。どれも 感情移入はしやすい。

ところが6は物語がどこを目指しているのか目的がはっきりしない。空条徐倫は 彼氏の交通事故に巻き込まれて 冤罪で刑務所に収監されることになっただけのネーチャンである。

自分を巻き込んだ彼氏へのリベンジの話なら分かるんだけど、復讐話でもないし、囚人が耐え難い苦痛を受けていて ここから脱獄したいという感情が沸き起こるような設定もない。

収監された事がきっかけで 親の記憶ディスクが盗まれたので取り返すという、受け身かつ感情移入のしにくい話なのである。取り返したところでプラマイゼロなので面白くならない。

おまけに 舞台が 馴染みのないフロリダ州の刑務所である。アメリカの囚人の生活に興味を持っている人がどれくらいいるんだろう。

4部の仗助だったら 杜王町の不良高校生だから なんとなく ヤンキーが危ないことに巻き込まれるんだろうなという予想がつく。 5部はマフィアの命令をこなす末端の暴力団だから 危ない仕事をさせられるんだろうというバイオレンスな予想が湧く。

でも6部のアメリカの「囚人」て何だろう。もう「捕まっている」んだから なにもイメージが広がらない。戦争捕虜ではなく ただの囚人だから刑務官に逆らって脱獄したら悪玉というイメージしか無い。そもそも刑務所に入っている時点で応援はしにくい。

 友情・努力・勝利というのがジャンプの3原則だけど 本当は4原則あって、正義という要素もヒットの条件だと思っている。で、ジョジョは2~5部までは全部揃っている。

でも ストーン・オーシャンの場合だと どれも無い。強いて言えば 「友情」くらいしかない。
それが無くて面白いというならいいけど、そうなっていない。

ストーン・フリーが能力的に物足りない
時を止めて相手をぶん殴る能力とか 殴った相手を治療するというのは 「この先 どうなるんだろうか」という興味が湧きやすいけれど 「弱めの糸が出ます」という劣化スパイダーマンみたいな能力は可能性を感じさせない。

光の速さで動けるとか、触ったものの遺伝子を操作できるとか、触ったものを発火させるとか時間を数秒逆行させるとか承太郎を上回る強さがあっても良かったように思う。

6部ではオリジナルの発想が減っている。リトル・フィートとほぼ同じ能力であるグー・グー・ドールズ、 映画メメント(2000)設定の丸パクリであるミューミューのジェイル・ハウス・ロック。透明なモンスターが襲ってくるのも設定は映画インビジブル。こんな感じで、どこかで見たことある話が場面を区切っては出てくる。

6部が失敗したのはプッチのせい。
しかし 6部が失敗したのは6割がプッチ、4割がラストの閉め方にある。

だいたい いい作品は悪役がいい仕事をしている。フリーザにしろ鬼舞辻にしろバイキンマンにしろ、 ちゃんと「世界の敵です」というヘイトを集めている。ところがプッチはジョジョの中でも出来の悪い悪役で、悪役の仕事をちゃんとやってない。

プッチが仕事をするなら 空条承太郎のディスクを抜いたあとで、死刑囚のものと入れ替えて、承太郎と徐倫と戦わせたり、徐倫がアナスイと仲良くなったところで アナスイをバラバラにしてステーキにして食べたり、FFを解体して金魚の餌にしたり、プッチ自身が承太郎のディスクを挿して スタープラチナVSストーン・フリーで戦わないといけない。

リサリサ、重ちー、ブチャラティの犠牲は 主人公をボスに向かわせるだけの重要なプロットなのに、6部にはそれがない。FFやウェザーでは弱い。犠牲にして意味のある インパクトあるキャラクターは承太郎しかいない。

おまけにプッチはなぜ新しい「天国」を作りたいのか動機が分からない。死んだ妹にもう一度会いたいわけでもないし、ウェザーリポートとの関係を修復したいわけでもなく、ディオに会いたいわけでもない。ただ 新しい世界で 自分だけが未来を好きなように変更できる世界で暮らしたいと、 そういう話がいきなり出てくるのである。これで 「わかるわー」と納得してくれる読者はもう何読んでも「わかるわー」と言ってくれる人だろう。

ラストの展開がひどい

もう20年も前の作品なので今更ネタバレもクソもないから言うが、結局メインキャストはエンポリオ以外はあっさり死ぬのである。

3部で ディオとの死闘を演じた承太郎までが ゴミみたいな悪役のプッチに負けてしまう。これで4部までの承太郎の強さはなんだったんだとなるし、低空飛行を続けてきた6部を我慢して見てきた人にすれば 「いきなりエンポリオに丸投げって、これまでの徐倫の冒険はなんだったんだろう」となってしまう。

1京歩譲って エンポリオが武闘派のスタンドだったら納得はできる。でもドラゴンボールでいうと プーアルみたいな位置づけのキャラクターに いきなり孫悟飯みたいなバトン渡されるわけですよ。

そんで主人公の枠はサブキャラだったウンコリオという少年が サクッと引き継ぎ これが あっさり2話くらいで プッチを倒してしまう。

もうね「はぁ?」と 「4人がかりで倒せなかったのに?」「承太郎や徐倫ですら あっさりやられたのに?」 「こんなクソみたいな どうでもいいサブキャラが1人であっさり倒すの?」と何度読んでも納得できないのである。

せめて ウンポリオに広瀬康一くんみたいな成長過程があったのなら 感慨もひとしおだと思うんだけれども、今までサブキャラで戦闘もしてなかったような奴が、いきなり歴戦のメインキャラクターを上回るような強さで倒すことにも納得がいってないし、歴戦最強クラスの承太郎が無造作に死んだショックと 承太郎を上回る強さのラスボスを脇役が秒で倒してしまったので、

「はぁ、なんだこのいい加減な設定は」と 憤りが噴出し「てめー、そんな簡単に倒せるんだったら」イルカに乗った少年なんぞやってねぇで、3話前にウェザーのディスクを挿してサクッと倒しとけば みんな助かっただろ。と思うのもムリはないのである。

承太郎を失っても 徐倫がプッチを撃破して 矢の破片が継承されるならば  まだ6部に価値はあったと思うものの、残ったのは クソどうでもいいウンコリオ少年と1周回った世界なので「そんなん全部いらんから 」時を戻すスタンド作って承太郎を元に戻してよというのが 視聴者の不満としてあると思っている。

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