小説を読むとどんな効能があるのか、どんな風に読めばラクか、楽しいかというのを教えてくれる本。今年読んだ ためになる本 第2位。
思えば おっさんになってからは小説を読まなくなった。Apexは するけど そんなに暇じゃないし。夏目漱石とか読んでられるかと思ってた。今は 令和だぞと。
だけど この本読んだら 小説の見方が分かった。
いや 達人の話こそ聞くべきだと思ったね。
それでも私は、現代で自己啓発本が担っている役割と、小説が担っている役割は、同じようなものかも、と思っている。なぜなら、小説も、自己啓発本も、「現在の自分が抱えている、どうにもならない不安」を扱いつつ、それに対して作者が「私はこう考えてるよ、私もがんばってるから、あなたもがんばろう」というものだから。
そうかもしれない。
確かに自己啓発本は「お前こんな事で困ってんだろ?」と言われているようで好きではない。特にメンチャリスT まぁ それはいいや。
とにかく小説というのは 作者の悩みとか不安が封じ込められているらしい。
それが読み取れればおKとも言えるじゃありませんか。
なので 坊っちゃんにはどんな悩みがあるのかだけ、 ザッとシークしながら読んでみた。
もうね、見方が分かるとやべぇくらい おもしろいんだな これが。なるほど、これがコツなのかと思った。
なんで小説を読むのか
たしかに 小説は 作家の 愚痴とか不満とか葛藤が込められている。
おもうに、夏目漱石の坊っちゃんは「仕事場にクソ上司がいるから ぶん殴ってやった。」って話だとおもう。
上司を殴ったあとで 主人公はめでたく失業するわけなんだけど、クビになるって分かった上で殴ってる。
いや、坊っちゃんも多少は上司に我慢する。
するんだけど、やっぱり人間 曲げられないものは曲げられない。
だいたい そこまで我慢して守りたいものって何だよ。逃げてるだけじゃん? っていうのが漱石が込めたテーマなのかと思う。
もともと 武家出身の坊っちゃんは幕府がつぶれて落ちぶれてから就職。
で、西洋かぶれで成り上がった上司に馬鹿にされるわけです。
現代で言うと、製造業辞めてIT系に行ったら「このおっさん使えねぇな」とか言われる感じ。
それでも我慢して 一生懸命仕事するんだけど 「おめぇの顧客は金落とさねぇからダメ!」とか「KPI考えて動け!」とか横文字でくだらん事を言ってくる上司に耐えられなくなる。
もちろん新しい時代に合わせようとするんだけども この上司とは どうしてもウマが合わない。で、爆発して解雇される。
やっぱ漱石はすごい。現代にも通じる話じゃんと。
もちろん 坊っちゃんの行動は いまの価値基準だと完全に負け組かもしれん。
「でも坊っちゃん 素敵やん?」って事を漱石は言いたいんじゃないかと思うわけです。
引いて現代社会をみてみると、パワハラだ モラハラだって騒がれてるけど 明治からずっと変わんねーんだなと。
漱石も 人間関係やら仕事に いろいろ悩んでて そのやり場のなさを 明治時代にジップロックして海に流した結果、残っているとおもう。
んで読むと、「なんだ 漱石もおんなじようなことで悩んでいたのか。」「俺と同じやん」なんて事を考えるわけですね。
なんか友達増えた感じするでしょ。ええ。
自分がクソ上司に悩んでいたとしても、誰に聞いても対処法は知らない。親に聞いてもダメ。友達にも言えん。
そんな難問を抱えている時に 寄り添ってくれるのは小説だけかもしれないと言う気がするわけです。
もうね なにか悩みがあるなら小説を読もうと。必ずいるのよ 似たような所で泣いてる人は。
まぁ考えた所で問題が解決するわけじゃないし、金が貰えるわけじゃないんだけども、
少なくとも悩みの負担が軽くなるような そんな気分にする力を持つのは小説しかないのかも知れません。
セヤカテ工藤
小説ってのは読むのがめんどい。三島さんのとか 長いし。
そんな時にどうするか。
そのコツが本書のキモとなるところ。これはもう ぜひ読んでもらいたい。話長くなるしな。
いや分かる。確かに少し値は張るが、安心してくれ、リターンはでかい。
大丈夫だ 今買わなきゃ一生読まないが、金はまた手に入る。