【書籍感想】天才を考察するデイビッド・シェンク 「生まれか育ちか」論の嘘と本当

天才になる方法が書かれている本

天才というとイチローとか、羽生さんとか 、各セクターに 一人は居るわけなんですが、

そういう天才は生まれつき天才なのか、それとも「育ってきた環境で天才になったのか」というのが長年の謎だったりします。

で、その謎に答えている本が 「天才を考察する」です。

結果から言うと DNAで自動的に天才になるワケではなくて、努力で天才が誕生するそうです。

努力にまさる天才なしというよりも、「おかしいくらいバット振る努力」が天才を生みます。

自分の限界にチャレンジし続けると、人の中の 才能スイッチがオンになって 天才と呼ばれるまでになります。

モーツァルトも毎日毎日 泣くまで父にピアノを弾かされて、練習しまくって華麗にチェンバロがひけるようになっただけで、生まれつき天才だったわけではないので

「モーツァルトには元々 才能があった!」と言ったら 多分 天国でモーツァルトにドロップキックされます。

テッド・ウィリアムス「天才じゃねぇ努力だ。

今から80年くらい前 メジャーリーグで4割を打ったテッド・ウィリアムスという天才打者がいました。伝説の4割バッターです。

1試合に平均ヒット2本を打つバケモノっぷりで、シーズンで4割を打ってからはみんなから「天才」「神」「野球をするために生まれてきた」と言われていました。

しかし そんな大衆の意見に対しテッドは内心こう思っていました。

「バカジャネーノ」と

テッド ウィリアムズ

テッドは4割を打てたのは 自分が努力に努力を重ねた結果に過ぎないと思っていました。

フツーの労働者の息子 少年テッドは

早起きしてボールを打ち、学校行って、帰ってからボールを打ち。

寝る前に新聞紙を丸めた紙で素振りして寝る。それを何年も繰り返していました。

バッティングセンターが無かったので親に昼飯代として渡された金を同級生に払って、バッティングの手伝いをさせて 起きている間は延々とバットを振っていました。

ボールの皮は めくれてボロボロ、バットの振り過ぎで手のマメが潰れて 血がしたたるくらい振っていました。まるで取り憑かれたように野球をしていました。今風に言うと変態です。

中学生になって他の男の子は女子にモテようとしてバスケに変えましたが、テッドはいつもの公園でボールをバットでしばいていました。

視力が下がるのが嫌なので映画館にも行かず、目を鍛えるために片方ずつ目を隠して街を歩いたりもしていました。

野球選手になるための努力を毎日やっていたわけです。

努力してたら開花した

このようにテッドの場合は 朝から晩まで 高速でバットを振りまくって、野球を追求していった結果 テッドの中に眠っていた「野球うまいスイッチ」が 次々とオンになっていきました。

大抵の人は 多少うまくなって女の子にキャーキャー言われると 「もういいや ポルシェに乗りたい」と思って練習をやめてしまいます。

しかしテッドの場合は「まだまだだ、俺は4割打ちたいんだ」と言ってバットを振り続けました

そしたらテッドの中のさらに多くの才能のスイッチがオンになり 結果的に4割打つまでになってしまいました。

このように人間の中には より高みを求めないと オンにならないスイッチが山のように眠っていて、オンになるかどうかは 人間のやる気や行動によるというのがこの本の考えかたです

小難しい話をすると 遺伝子は 人間のタンパク質の設計に あれこれ指示を出すのですが、

遺伝子自体も影響を受けます。環境刺激、ホルモン、栄養、神経刺激が 影響を与えるわけです。

そして人間にはいろんな才能があるんだけれど、開花させるには死ぬほどの努力が必要で、ほとんどの人がそこまで追い込まなくても生きていけるので、ある程度の才能スイッチしかオンになりません。

ひとよりもっと多くのスイッチをオンするには「まだまだや!もっと上手くやれる」という個人の意思での練習が必要です。

周りの人に「あんた野球ばっかりしてもアカンやないの」とか「あいつおかしな事している」と言われても 目標に向かって努力し続ける事が必要になります。

辛いのは それに効果が見込めるかどうかが、ある程度経たないとわからないことです。

しかし この地獄の特訓を乗り越えると 少しずつ 才能スイッチがオンになって、人とは違うことができるようになるらしい。

背水の逆転劇

そして何らかの成果を出すと 一面を切り取られて 大勢の人に「あいつは 才能がある」「天才や!」と言われるようになるわけです。

ウメハラ選手がガードを連続で出せるようになったのは 「天才だからできた」ではなく 練習に打ち込んだからで、この裏側には膨大な数のエラーが刻まれているわけです。

天才は 努力しないと開花しないし、天才という呼称は、努力の後で結果を見た人が 勝手につける称号のようです。

この本はこのあと 子供をどう育てていくと才能が開花するのか、天才になるにはという方法論に踏み込んでいきます。気になる方は是非読んでみて下さい

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