「人生は気の持ちよう」でおなじみのドゥエック博士の本を購入してみました。
【この本の効能】
ヒトはどういう考え方をすると、勉強・スポーツ・人間関係で成功しやすくなるのか?どういう褒め方をすれば子供や人は伸びていくのかという内容。
タイトルの”マインドセット”とは、日本語に直すとモノの見方・考え方の事です。この本はスタンフォード大のキャロル先生(71歳)が 人はどんな考え方をすると勝者になれるのかを20年以上かけてまとめあげた本なので読み応えがあります。
会社や学校とかで 文句を言われて凹みがちな方が読むと「まぁええか。これも勉強じゃい!」と立ち直るのが速くなります。
どんな人でも頭は良くなる。考え方を間違えなければ
突然ですが問題です。世の中には2つの説があるそうですが、どっちの説を信じますか?
- 頭のよさは生まれつき固定されている
- 鍛えたらアタマは良くなる。
実は2を選んだ人の方が 頑張るようになるし、能力も上がるので2.を信じたほうが人生は得だそうです。
1.の考え方をトランプのポーカーでたとえると、自分の持ち札が変わらない/変えられないと思い込んでいる状態です。こうなると、自分が勝てる勝負以外したくなくなります。
例えば 自分は1ペアしか持っていない状態だと、ブタの人と勝負して安心したり「自分はすごいカードを持ってるんだぞ!」と周りにホラを吹いたりして、他人の評価を上げようとします。
しかし結局1ペアなのには変わりがありません。このタイプは自分の成長には重きを置かず、 目先の勝利もしくは自分が他人にどう思われるのか を重視します。
2.の場合は手札のカードは入れ替える事ができ、今後は良くなると思っているので、勝負に負けても精神的なダメージは少ないです。勝負に負けても、この試合では負けただけと思える余裕が出ます。
その後、なぜ負けたのか、次勝つためにはどうしたらいいかと反省したりします。積極的に努力するようになっていい結果が出やすくなります。
1.のタイプの人の成功はその場の勝ち負けです。
2.のタイプの人の成功は最善を尽くして学んで向上すること
ここがポイントです。そしてトップアスリートの人たちは2.の考え方をしている人が多いです。試合の勝ち負けよりも 自分がどれだけ努力したのか、どれだけ自己のベストを追求したのかを重視します。
スポーツ選手ではありませんが、プロゲーマーの梅原大吾さんも著書の中で自身の成長が目的であり、大会に参加することはただの目標でしか無いと言っていたので、かなり共通しています。
45:01~
「成長が実感出来ていれば 飽きるってことはない。
飽きないから前向きに努力をする。
当然上達していって… 成果は出ると。」
現実世界では、どんな人が2タイプの学習者なのか
ウーマン村本さんは学習者として正しい
2018年1月TVの討論番組に出演したお笑い芸人:村本さん(以下敬称略)は、憲法の9条を読んだことが無いという理由でバカにされる事がありました。村本は正直に「読んだことがない」と答えたのです。
炎上はしたものの村本は2.の成長型マインドセットの考え方をしています。 学習者としては優秀です。1.のマインドセットの場合、 9条を知っているような顔をして 周りのゲストが喋るのを黙って聞いてうなずくはずです。しかし、それでは何も分からないままです。
村本は恥をかく代わりに「ほほう、9条2項はとりわけ大事なんだな」という事を学習したわけです。一方で「無知を恥じろ!」と言った爺様は気分はスッとしたかもしれませんが、新情報は何も得ていません。
というわけで村本さんの思想は一旦置いて、学習に関しては同じように「知らんものは知らん 今から勉強する」と誠実に取り組んだほうが得なようです。
「現状の能力」ではなく「努力の質やどれだけ伸びたか」に着目すると伸びる
この本のとりわけ重要な部分、それは第7章です。教育-マインドセットを培う-の所は、子供の一生に関わってくるかもしれません。
子どもを伸ばそうと思うと、良い部分を手当たり次第に褒めたくなりますが 褒め方も結構難しいものです。以下の2つの褒め方はB.のほうがいいと筆者は言います。
A.100点取るなんて 頭がいいんだね
B.100点取るなんて 工夫してがんばったんだね
一見どちらでも良さそうなものですが、Aは100点とった能力や成果を褒めているのに対して、Bは努力を褒めています。
これが積もり積もっていくと、Aのように褒められた子どもは100点以外を取ると 「人に頭が悪いと思われる」と捉えて、ニガテな分野に挑戦しなくなったり、100点以外の答案を見せなくなっていきます。
一方のBは努力を褒められているので、努力して難しい課題にも挑戦していきます。
些細な違いですが、結果的に全く違う行動を促します。
具体的に褒めると効果↑
天才!とか賢い!とかいう賛辞も褒めているようで実は毒だそうです。便利だから使ってしまうんですけどね、
能力を褒めている所があんまり良くないそうです。むしろ「今の演奏はここの部分が良かったけど たくさん練習したんだね」 とか 「この絵のこの部分は丁寧に塗れていていいね」の方がいい褒め方のようです。
頑張っている姿を褒めさえすればオッケーなの? → NO
それでは子供が努力している姿を単純に褒めれば 後は何もいらないのでしょうか?
答えはノーだそうです。才能を褒めるよりはマシですが、子供の能力が一向に伸びていないのに「頑張ってるね」と言うのはあんまり良くありません。
なぜなら子供もバカではないので、全然効果が上がっていないことを知っています。単純に褒めるだけでは、大人が自分を慰めるために言っているんだなと感じるようになったり、努力する姿を見せればいいと間違った事を学習してしまうかもしれません。
そこで大事なのは どの行動が良かったのか、どういう努力が成功に結びついたのかを一緒に見つけるという所です。これが結構難しい所です。
子供の戦略を褒めるようになると上級者
親になりたての方や教育者は 子供の出した成果ではなく ひたむきな努力を褒めたくなります。子供の努力は大事ですが、より上手なほめ方は「いい結果につながりそうな考え」や「より深く知る事につながっている行動」を褒める事です。
子供に効果の薄い努力を延々とさせるのではなくて、子供が新しく 効果的な戦略を見つけ出すための応援をするのです。上級者は子供が戦略を学ぶのを後押ししたり、戦略がどのように成功をもたらすのかを発見させます。
あせらず一歩ずつ
とはいえ、常にどんな状況においても 成長型のマインドセットを保ってる人なんて一人もいないと筆者は語ります。実際にやってみると 褒め方だって最初はうまく行かないとおもいます、試行錯誤です。
でも 大丈夫です。こうした成長型のマインドセットや考え方は自分の中に培っていくものなので、植木を育てるように 時間をかけて練習していくと良いです。あせることはありません。
本書をガイド本として置いておくと声掛けの精度や考え方の確認ができるので一家に一冊欲しい所です。20年経っても錆びない本です。
前向きなマインドセットに近づくための手っ取り早い方法は、 2.の考え方をする人のお友達になる事です。感化されるので考え方が変わりやすくなります。
「そんな お友達なんていません!」という方も、Twitterやfacebook上で前向きで建設的な意見の人は見つかると思います。
そんな人を積極的にフォローしたり 眺めていきましょう。考え方は伝播するので、いい影響が出るはずです。
その他 参考url:How Praise Became a Consolation Prize
Helping children confront challenges requires a more nuanced understanding of the “growth mindset.”Helping children confront challenges requires a more nuanced understanding of the “growth mindset.”