KZイヤホン、Zシリーズの進化の方向性「炎上と失敗と傑作」(2022~2026)

 

KZイヤホン Zシリーズの進化のタイムライン(2022-2026)
※製品画像はイメージです。実際の商品とは外観が異なります。

KZのZシリーズは山ほどあって、 もうどれが最新なんだか分からなくなったので これまでの過程と一緒にまとめてみました。

 

2022年:定番の正統進化と静電型への挑戦

2022年は、長年培ったハイブリッド構成のブラッシュアップと、新ドライバー構成への模索の時期でした

  • KZ ZES(2022年3月)
    • 構成: 12mmダイナミック(DD) + 静電(EST)ドライバー
    • 特徴: 失敗。Zシリーズとしては珍しい低圧静電ドライバーを搭載したハイブリッド機。12ミリDDの力強い低域とマイルドな高域を目指した野心作だったが、22年3月海外のFBの投稿でKZイヤホンをハンダゴテで分解、音波測定した結果、静電(EST)ドライバーを外しても大差がないことが分かり、価格引き上げ目的で ドライバを増やしているんじゃないかという疑惑が流れて炎上。

      その後の調べで
      静電ドライバーを動かすには まとまった電力が必要で、DACやアンプが別途必要だった。スマホに挿すだけではパワー不足で機能しない。「だから実質1DDになる」ってことが分かり、 人気も下がって黒歴史になった。

  • KZ ZS10 Pro X(2022年9月)
    • 構成: 1DD + 4BA(バランスド・アーマチュア)
    • 特徴:無個性  爆発的ヒットを記録したZS10 Pro を改善。片耳5ドライバ(1DD+4BA)を5,000円台で提供した。そこまでは良かった。それまでのKZのBAと言えば 高音がキンキンに鳴る30095だったので、これを「どげんかせんといかん」というので、BAを(30095→ 2基一体型の50024s)に変更。高音の刺さりを軽減して、ドンシャリのシャリを抑えた結果、無難な音になってしまった。 「尖ってない、無個性、おもしろくねぇ」みたいな感じになった。頑張ったんだけれど、洗練されすぎてジャンキーな魅力が減った結果 あんまし売れなかったっていう。

■ 2023年:多BA化と、チューニングスイッチの幕開け

2023年は「圧倒的なBA物量攻め」の年でした。 1万円前後の価格帯でありながら片側8ドライバーを詰め込むなど、KZの「高スペック化」が極まった年です。

炎上ハプニング以降に出たモデル(2023年〜現在)に関しては「やべぇよこいつら いつでもハンダゴテ持ってこっちを見てやがる…」と思ったのか BAもちゃんと鳴るようになり、物理スイッチによる音質の変化も測定データできちんと証明されるようになりました。やったね。

  • KZ ZAR(2023年1月)
    • 構成: 1DD + 7BA(30019S)☓1(50024S)☓6
    • 特徴:数の暴力 Part1  片側計8ドライバーを搭載した最先端モデル。技術の結晶でKZの傑作と言ってもいいが変態でもある。「電子基板で周波数を完璧に分けて、演奏員を増やしたら 綺麗に鳴るんじゃね?」という思想で作られた。 
      まずDD内の磁気ギャップを0.15mmまで縮めて ドライバーの後ろにある空気のクッションの量を調整することで、DDが余計に出していた余計な高周波を削減。そんで新開発のBA☓1に超高音域、デュアル仕様のBA☓6に中、高、ボーカルをそれぞれ割り当てて完成。
      詰め込みすぎて価格も重量も重くなった。 でも音的には最高の部類と言ってもいいクオリティになった。

  • KZ ZNA(2023年1月)
    • 構成: 12mmDD + 30095カスタムBA
    • 特徴: 時期が悪かった。エントリー機ながら従来の10ミリドライバを12ミリに変更、さらにDD内の磁気ギャップを0.15mmまで縮めて低音域に厚みを保たせたまでは良かった。BAも悪くない。ただ、同時期に MoondropのChuシリーズやTangzuのWan’erなどが1発で完璧な音を鳴らす1DDイヤホンを開発して チャイナの中では「3000円台だったら そっちのほうが良くね?」となり ほぼ売れずに消滅。そのあとKZもEDシリーズで1DDの名作を出していくようになる。

  • KZ ZAT(2023年後半)
    • 構成:数の暴力 Part2 1DD + 8BA
    • 特徴:ラストロマン  ZARからさらにBA数を増やした怪物モデル。初めて本体背面に「チューニングスイッチ」が本格採用され、ユーザーが物理的に抵抗値を切り替えて音質をカスタマイズするスタイルが定着し始めるきっかけになった。
      ドライバーが多ければ多いほど良いという神話が崩れた上に、矢継ぎ早にドライバを8→9と増やした結果 買い控えが発生。
      あとドライバを詰め込みすぎて単純に重い、外れるという弊害が発生し ロマンはあまり売れなかった。

■ 2024年〜2025年:多ドラは休憩、超高線形DDの導入、デュアル型BA、スイッチの標準化

「ひたすらドライバーの数で殴る」という力技が通用しなくなり、メーカー側のDD、BAの品質を高めるアプローチと、スイッチによる音色可変が標準スペックとなっていく。

  • KZ ZSN Pro 2(2024年初頭)
    • 構成: 1DD + 1BA
    • 特徴: 5000円以下の超低価格帯の絶対王者「ZSN Pro」シリーズの第2世代。KZ ZNAの12ミリドライバをやめて方向転換。代わりにDDの磁気回路や内部構造を限界まで効率化して 従来のDDよりも前後の振動が「まっすぐ(超高線形)」に動くよう改良。 結果12ミリDD並の低・中音域に磨き上げた。ドライバーの歪みを減らし、より現代的な解像度感へアップデート。

  • KZ ZS10 Pro 2(2024年春)
    • 構成: 1DD + 4BA
    • 特徴: ZS10シリーズには初となる4つのチューニングスイッチを搭載。超高線形DDに加えBAも変更。それまでのシングルBAを束ねる方式だと どうしても個々のドライバーに無理がかかり 高音のザラつきや刺さりに繋がっていたので BAを 31736デュアル型に変更した。これによってBA単体の負荷が軽くなり細かい音まで正確に出るようになった。

  • KZ ZS12 Pro X(2024年9月)
    • 構成: 10mm超線形内磁ダイナミック(DD) + 5BA(31736複合BA×2 + 30019BA×1)
    • 特徴: 新世代の「スーパーリニア(超線形)ダイナミックドライバー」を採用したことで、低域の質感が格段に向上。 中音を30019BAが担当、高音、超高音を「31736」デュアルアレイがそれぞれ担当することで底から超高音のディテールを向上させた。

■ 2026年(現在):帰ってきた多ドラ

  • KZ ZAS Pro(2026年春予定)
    • 構成:(1DD+7BAの片側8ドライバー構成)
    • 特徴: かつて「濃厚な低域と音場感」で人気を博したZASの名を冠するプロ仕様モデルがアナウンス。スイッチコントロールと、最新のBAユニットを組み合わせて、プロやマニア向けを意識したリファインが施されている。

💡 2022年以降のトレンドまとめ

2022年以降のKZ Zシリーズの進化の方向性は、大きく以下 3点に集約される。

  • 2022年の炎上騒ぎをきっかけに  BAをいっぱい積んで「なんか凄そう」と思わせて 買わせようとするのをやめて、効果の薄いBAを積む事を控えるようになっています。
  • 「構成パーツの追求」:低中音向けに「超線形ダイナミックドライバー」を改良。高音・超高音向けに複合BA(31736など)が開発されて、ビビリ、歪み、刺さるような高音を低減させるようになりました。

  • 「チューニングスイッチの一般化」ZS10 Pro 2ZS12 Pro X に見られるように、4基のスイッチをパチパチと切り替えることで、リケーブルやイヤーピースの交換をせずとも 楽曲や用途に合わせて音を物理的に変えられるようになりました。ギミックが完全に市民権を得ています。
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