第二次大戦中 銃を一切持たずに75人の兵士を救った衛生兵デズモンド・ドスの実話に基づくお話。ドスは沖縄戦での功績が認められ、史上初の非武装で名誉勲章を授与された兵士となりました。
ハクソー・リッジって?
ハクソー・リッジというタイトルは 本作品の舞台となった 沖縄県の前田断崖が 米国でハクソー・リッジ(ノコギリ崖)と呼ばれている事にちなんでいます。崖は約150メートルもあり ノコギリ(ハクソー)で切った断面のような形をしています。
海外での反響
初公開は2016年11月4日(ロケ地のあるオーストラリアで開催)興行収入は全世界で175百万ドルの大ヒット。アメリカ映画協会から年間のTOP10作品に選ばれました。数々の賞や部門にノミネートされ、89回アカデミー賞で録音賞と編集賞を受賞。日本での公開は6月24日からとなっております。
主要スタッフ
監督:メル・ギブソン
脚本:ロバート・シェンクカーン|アンドリュー・ナイト
主演:アンドリュー・ガーフィールド(デズモンド・T・ドス)
ヒューゴ・ウィーヴィング (父親)
テリーサ・パーマー (ドロシー)
ルーク・ブレイシー (スミッティ)
ヴィンス・ヴォーン (ハウエル軍曹)
サム・ワーシントン(グローバー大尉)
本作のトリビア
・デズモンドさんは インタビューで実際に何人の命を助けたのか質問された時に、おおよそ50人と答えましたが、証人の話では100人に近かったという話で、双方の合意ということで約75人という事になっているそうです。
・撮影期間は59日間 うち戦闘シーンは19日間
・実は本作にはメルギブソンの息子 ミロ・ギブソンが出演しています。(ラッキー・フォード役) 本作がミロの映画デビュー作品。親子のコラボも今回が初めてとの事です。
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ネタバレあらすじ
<プロローグ>
バージニア州 の田舎リンチバーグの近くで アル中の父と真面目な母、そして仲良しの弟と暮らす少年デズモンド・ドスは、ある日 弟とのケンカが行き過ぎてしまい、レンガで殴って殺しかけてしまう。
ドスの家庭はセブンデー・アドベンティスト教会というキリスト教の中でも厳格で聖書原理主義的な宗派。
日頃「汝殺すなかれ」と教えを受けてきた事もあり、ドスはこの事件がトラウマとなり、”絶対に誰も殺さない”の決意を強くする。
15年後 青年になったドスは交通事故で負傷した男性を車で病院へ連れていき、美人看護婦のドロシーに出会う。二人はやがて仲良くなりドスはドロシーに医療の仕事をしたいと打ち明ける。
<入隊>
WW2が勃発。ドスは父に内緒で陸軍に入隊を志願します。彼の父はWW1の退役軍人で息子の決断に驚きを隠せません、戦争反対者で衛生兵としての志願だったからです。
「お前なんかが戦地に行ったら絶対死んでしまうぞ!」と怒り出してしまいましたがドスの決意は変わりませんでした。
サウスカロライナのフォートジャクソンへ向かう前にドスはドロシーに求婚し、ドロシーはこれを受け入れ、別れの日にドロシーから聖書を受け取ります。
ドスはハウエル軍曹の指揮下に入ります。ドスは肉体的には優れていますが、ライフルを扱わない上、土曜日の安息日に訓練を行わないので、同僚からはウザがられていきます。
<いじめ>
ハウエル軍曹とグローバー大尉は こいつは精神上の問題があるとしてドスを除隊させようとしますが失敗します。
ハウエル軍曹はドスに自らやめさせるよう重労働を課して いじめをはじめます。しかし、同僚の兵士に夜間に殴られても、ドスはその犯人の名前を明かさずに「僕は負傷兵を助けるために戦場に行く、どれだけいじめ出そうとしても、僕はやめない」と訓練を続けます。
基礎訓練が終わりドスは一時的に自由になったので、この期間にドロシーと結婚しようとしますが、邪魔が入ります。銃火器の携帯を断ったことが上官への不服従と見なされ勾留されることになったのです。
ドロシーは拘置所のドスの元を訪れ、告訴を避けるべく有罪を認めたほうがいいわよと言いますがドスはこれを断ります
<裁判>
ドスは無罪を主張。判決が下ろうとした時に、父親が前部隊長の宣誓書を持って駆けつけます。息子の平和主義に基づく行いは議会制定法によって保護されるものであるとの書簡です。
これによってドスの問責は棄却され ドスはドロシーと結婚します。
<戦場へ>
ドスは第77歩兵部隊に配属され太平洋戦域に送られます。
沖縄戦で、ドスの部隊には第96部隊と交代せよとの指示が送られてきました。前田断崖(ハクソーリッジ)を登り、確保せよとの指令です。
前田断崖はそこの崖を超えたら、日本軍の本部がある場所。守りは硬いし日本兵は強いしで、アメリカ兵も戦死者が続出の恐ろしい場所です。
初戦は両軍とも被害は甚大でした。さっそくドスは何名かの負傷兵の救出に成功します。夜間はスミッティと塹壕ですごします。最初にドスを仲間だと呼んでくれた兵士です。
ドスは自分が銃火器を使わない理由について打ち明け始めます
父はアル中で、酔った父親が 昔 母を銃で脅していた所にドスは激高し、あやうく父を銃で撃ち殺そうとしたのがきっかけで 銃に触れなくなったのでした。スミッティは意気地なしだと疑っていた事をわびて、二人の絆は深まります。
翌朝、日本軍は米軍に大規模な攻撃を仕掛けます。スミッティは戦死し、ハウエル軍曹や部隊の多数の兵士も負傷。戦場に残されます。
<ドスの活躍>
味方の兵が撤退していく中、ドスは一人戦場に残り、負傷した兵の叫び声を聞いては丸腰で救出に向かっていき、崖まで兵士を運ぶと一人ずつロープで降下させます。
夜明けになってドスは、かつて自分を冷遇していたハウエル軍曹さえも救出、銃弾が飛び交う中、二人で崖を降りて後退します。
一人で75人を救ったドスの勇気ある行動は、味方兵の尊敬を集め、ドスは軍の士気に影響を与える英雄的な存在となります。
グローバー大尉も無装備で多数の味方を助けたドスの功績を認め、翌日の再攻撃にはドスの参加が必要だと語ります。
翌日はドスの安息日でしたが、ドスは祈りを捧げた後に増援部隊と共に出撃。しかし その戦闘中 降伏に見せかけた日本軍の待ち伏せ攻撃を受け、手榴弾がドスの近くで爆発。遂に負傷してしまいます。
しかし味方軍の奮戦で戦闘には勝ち、ドスはドロシーのくれた聖書と共に 担架で崖をおりました。
<帰還>
ハクソーリッジで75名の兵士を救った功績により ドスはハリー・S・トルーマン大統領より名誉勲章が授与され、ドスはドロシーが1991年に死亡するまで一緒に暮らし2006年3月23日に87歳でこの世を去りました。
ネタバレトリビア
本当のデズモンド・T・ドスさんはハクソーリッジでの昼の交戦で負傷・後退していませんでした。実際はその数週間後、首里近くの沖縄軍事作戦中に負傷しました。名誉勲章時の言及によるとグレネードによって脚を怪我したが、担架を担ぐ兵士が来るまで5時間かかった。その間に彼は自分で傷の手当を行っていた。担架を担いでくれたのは3名だった。しかし帰る途中で日本軍の戦車に襲われた。ドスはもっと深刻な兵士を担いでもらうために担架を降り、その人を避難させてくれと言い、また戻ってきてくれるように頼んだ。
ところが待っている間に日本の狙撃兵に撃たれ、腕を複雑骨折。結局別の兵士に担がれながら、ライフルの台木を即興の添え木にして、そこから300ヤード離れた救護所に向かった。
とのことです
関連URL
映画「ハクソー・リッジ」公式サイトhttp://www.historyvshollywood.com/reelfaces/hacksaw-ridge/
昨日、映画にもなったハクソーリッジ(前田断崖)に行って来ました。
左の写真で崖の上に1人の兵が立っていますが、この兵が主人公になったデズモンドなのです
右の写真は僕が撮った写真で、右の写真の実際の撮影場所から後方に下がって撮影しました
赤い矢印がデズモンドが立っていた場所です pic.twitter.com/bQcD1oHAws— ガンボ (@World35276032Z) 2017年2月22日