逆転裁判1 の中で なぜパート5の「蘇る逆転」だけは駄作なのか。

逆転裁判123 成歩堂セレクション - PS4

逆転裁判1の中でも 後で付け足された パート5「蘇る逆転」は評判が悪い。ムダに長く、証拠品も人物も増え、シナリオの矛盾点も多い。フラグを立てるためにマップを行ったり来たりする場面が多く、プレイしていて楽しくないのである。

では 何が違うのか

逆転裁判の1話から4話までは 「ウソの証言に、矛盾する証拠品を1発つきつける」という1対1のシンプルな構造で作られたものでした。

犯人が「被害者の部屋には入ってない!」と証言すれば、入った人にしか分からないであろう証拠を突きつける。 

では なぜこれが置き時計であると知っていたんですか?」みたいに。

これが綺麗に決まっていたのが4話まででした。だから(頑張れば)攻略サイトなしで進めることができました。

ところがパート5「蘇る逆転」ではムジュンを暴いているのではなく、作者の用意した正解の選択肢を探すゲームになってしまいました。

ひどいものになると「証拠を出したほうがいいでしょうか?」「それとも今は止めときましょうか?」的な、そんなの知らんがな的な2択を迫られたりします。

それまで論理的な推理で進めていけたものが、選択肢を総当りする不条理な作業になってしまった。

これが駄作になった1つの原因です。

あとは複数の事件が重なっているため、話がつかみづらいというのもあります。

16年も前の作品でYOUTUBEも上がっているし、今更ネタバレも何も無いと思いますので、時系列順に なにが起こったのかプロットしていくとこうなります。

【2年前】SL9号事件の真相
事件の発生: 脱走した殺人鬼・青影が茜を人質に取り、追ってきた検事ザイモン(弟)と揉み合いになる。ザイモンは部屋に飾ってあった剣で青影の背中を刺しました。パニック状態になった茜は ザイモンを突き飛ばした後に気絶。 ザイモンも壁に頭をぶつけて気絶します。

ガントは、次期警察局長を狙える位置にいましたが、まだ決定的ではありませんでした。検事ザイモン(弟)をここで殺し、その罪を茜のせいに偽装すれば、ライバルの巴は絶対に妹をかばって証拠を隠滅するはずだ」とガントは確信しました。

ガントが部屋に入った時、青影は死亡、罪門(弟)と茜は気絶していました。 ガントは、気絶したザイモンを 部屋のアーマー像が持っていた剣に押し付けて殺害。さらに、茜が犯人だと偽装するため、壺に血で「茜」の文字を書き残す。

巴の隠蔽: 駆けつけた巴は 捏造されたダイイングメッセージなどをみて「茜がザイモンを殺してしまった」と誤認。

妹を守るために現場を捏造する。現場がそのままだったら茜に疑いが向いてしまうので、ザイモンの遺体を動かし、自分が持っていた護身用のジャンプナイフでザイモンを刺して、わざと刃を折って死体に埋め込むなどをして凶器のように見せかけました。しかし同時にガントに弱みを握られてしまう事になります。

【2年後】現在の連続殺人(同刻2箇所のトリック)
【警察署・地下保管庫】での出来事
16:20 : SL9号事件のチーフ捜査官だったタダシキはガントに再捜査を迫ります。困ったガントはタダシキを口封じに保管庫で殺害(首絞めか、殴打)。タダシキが完全に死んだあと、ガントは保管庫の中にあった「2年前の証拠品(ジャンプナイフ)」を持ち出し、すでに物言わぬ遺体となっているタダシキの体に、わざわざ突き刺します。(これには狙いがありますが後述)

その日 警察署には 御剣検事が別の事件の証拠品(ナイフ)を受け取るために警察署を訪れていました。御剣の愛車(赤いスポーツカー)は地下の駐車場に停まっています。ガントは遺体を御剣の車のトランクに隠して、御剣に疑惑を向けさせることにします。

その後、ザイモン(兄)が勝手にやらかした行動を見て、「よし、これを利用して自分のアリバイも作ろう!」と思いつきます。

17:14 : ガントの知らないところで、ザイモン(兄)もSL9号事件を独自捜査するために タダシキのIDと服装を盗み、タダシキに変装して保管庫に侵入。ところが暗い保管庫の中で警備員のハラバイと揉み合いになります。これにより、警察のシステムに「17:14 タダシキのIDが使用された」という記録が残り、ハラバイも(顔は見ていないのに IDの記録を盲信して)「タダシキに襲われた!」と証言します。ザイモンは逃走。

ガントは「タダシキが警察署で暴れた」という報告を受け、こう気づきます。「おや? タダシキは16:20に私が殺しているのに、警察の記録やハラバイの証言では『17:14に、タダシキが警察署で生きて暴れていた』ことになっているぞ…?」

ここでガントは巴に電話し、「検事局に届いたタダシキの死体を、今まさに(17:15頃)そこで殺されたかのように偽装しろ」と命じました。

【検事局・地下駐車場】での出来事
17:13 | 移動: 御剣の車が、トランクに多田敷の遺体を乗せたまま検事局に到着。

17:15頃 | 死体工作: ガントから指示を受けた巴がナイフの刺さったタダシキの遺体を発見。ガントは巴にトランクを開けさせ、「ほら、2年前のナイフだよ。妹が可愛いなら、それを抜いて御剣のナイフに刺し直しなさい」と脅したわけです。

巴はガントの言いなりになることに限界を感じていました。そこでガントは、「2年前の恐怖」をもう一度目の前に突きつけることで、「お前は一生、妹のために私の操り人形なんだ」と絶望させ、支配を完璧なものにしようとしたのです。

巴は2年前の証拠(ジャンプナイフ)を回収。代わりとして トランクにあった御剣のナイフを死体に突き刺して 偽装しました。

巴のキャラ形成がひどい

シナリオの出来もイマイチだけれど、一番良くないのは キャラクター形成に失敗している点です。その中心が 準主役の巴です。

ともえは 狩魔冥のようなドジっ子にした方が、このパート5は すんなり事が進んだと思っています。


ともえは なぜ「茜」という血文字を ザイモン弟 が書いたと思ったのか

血文字の成分はザイモン弟のものです。ザイモン弟は 背中にヤリが突き刺さったまま死んだ。 ともえは ダイイングメッセージはザイモンが書いたと思ったようですが、

背中にヤリが刺さった人間が、ツボを持って「茜」と書けるものでしょうか。ふつうに考えて無理があります。気が動転していたとはいえ、証拠が無いまま ザイモン弟が書き手であると判断している点から 主席検事の知能があるとは思えません。

ともえが踏み込んだ時の状況もおかしい
ともえが入った部屋には死んだ殺人鬼、気絶した妹、剣に突き刺さっているザイモン弟、そしてガントがいた。

仮に 妹が突き飛ばしてザイモン弟が死んだとしても、過失致死だろうし、茜は未成年で実刑判決はくらわないでしょ。

そして、ガントがザイモンを殺した可能性が残っている。

なぜともえは妹の仕業だと思い、証拠品を消し、隠蔽したのだろう。

既に現場が捏造された後ではないかと疑わないのも不自然です。

ともえはなぜ ガントの持っている証拠品を捨てなかったのか
茜と事件を結びつける手がかりは、指紋のついた布と血文字の茜。

妹がザイモン弟を突き飛ばした証拠を隠蔽したいのであれば、局長室と証拠保管庫に忍び込んで 焼いて捨てれば良かったんじゃないかと思ってしまう。

この事件はともえが相当なバカでないと成立しない
だから この事件はともえが ガントの言うことを100%信じて疑わない場合のみに成立する。

しかし それでは そもそも主席検事にはなれない。そのため プレイヤーは理解に苦しむことになる。

「なんでこんなのが主席検事なんだ モラルの欠片もないし」と。

ともえは若くして主席検事になった 御剣以上の頭脳という事になる。

それならばガントが平気で捏造する奴だと気づいていたはずだし、妹が犯人にされているかもしれないと疑うのが自然。

ともえが 昔から ガントの言いなりのコマとして地位を掴んだというなら納得できます。しかしその場合 有能な検事というのはウソになってしまう。

血文字を見て「妹が殺った」といきなり判断しているので「妹を全く信じてない」か「状況判断」がまるで出来ない系です。

いずれにせよ ともえのキャラクターは何度も破綻します。

ザイモン弟は殺人鬼に襲いかかって倒せるほど強いのに、なんで女子高生が突き飛ばしたくらいで死ぬと思うのだろう。

茜がムッキムキだったら分かるんだけど。

細かい不備はいくらもあります。

ツボの血文字にしても、きちんとザイモン弟が書いたものかどうか 捜査が行われていないのも変だし
なぜ2人も死んだ事件で オフィスに警察の捜査員がなだれ込んでこなかったのかも良く分からない。

茜の気絶のタイミングや 突然の雷雨や停電を見ても、不自然と言われてもしょうが無い。

2月で停電が発生するほどの雷雨はなかなか無い。

逆転裁判1の中でも 蘇る逆転のシナリオはムダに長くしたせいで ほころびが多い。

ビデオ録画を使った証拠品の提示や 指紋検出などのギミックは新しいものの、逆転裁判1の中でも、蘇る逆転だけは 突出した息切れ感が伺えます。

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