なぜロシアはマリウポリを執拗に狙っているのか

ドローン映像で見るマリウポリの惨状

Drone footage shows scale of devastation in Mariupol

ドネツク第2の都市マリウポリが包囲されて28日目になる。10万人から20万人が市内に取り残され、容赦ない砲撃が続いている。

地元当局によると、市内のインフラの80%が破壊され、その一部は修復不可能な状態にあるという。食料、水、電気、暖房が無く氷点下の気温に晒されている。死者の数は計測不能になっている。どの通りでも戦闘が起き、どの家も砲撃に遭っている惨状である。

今週、ウクライナ政府はマリウポリの明け渡しを求めるロシアの最後通告を拒否した。なぜロシアはマリウポリを強硬に陥落させようとしているのか。

精神的な要因
マリウポリはドネツク州にありながら 2014年にドンバスがロシアに吸収される中で、最後まで反抗して ウクライナ側に残った都市である。ウクライナにとってはマリウポリは反ロシア・反プーチンのシンボル的な意味合いがある。

ドンバスが吸収された後も、マリウポリはドンバスから移り住んできた避難民を受け入れてきており、2019年には9万6000人以上になっている。

プーチンにとって、ドンバスに含まれるマリウポリもまた ロシアの一部であると捉えており、ドンバスでありながら ウクライナ側について戦っているマリウポリは 尚更許しがたい存在になっていると思われる。

軍事的要因
マリウポリは、ドンバス地方とクリミア半島を結ぶ補給ラインの途中に位置している。マリウポリがウクライナ側にあると ロシアからクリミア方面に物資を運びにくく、またクリミアから物資や人員を運びにくいので邪魔になる。

逆に言えば マリウポリをロシアに取られるとウクライナ東側の部隊は勢いづいてしまう。

経済的要因
マリウポリは港湾都市で、アゾフ海最大の港がある。海に近いので製鉄所、重機製造、船舶などの工業が発展している。マリウポリには、ウクライナの大手冶金グループであるメチンベストの所有するウクライナ最大の製鉄所がある。そのうちの1つであるAzovstalは、今週、ロシアの砲撃によって大きな被害を受けた(関連

Russia intensifies Mariupol bombardment as street fighting rages

ウクライナはマリウポリから穀物、石炭、鉄鋼、重機などを欧州や中東に輸出しているので、ロシア軍は マリウポリを占領することで ウクライナの経済力・輸送能力を落としたい狙いがある。

ロシアにとっては ドネツク・ルガンスクにとって唯一の港がマリウポルなので 経済・物資輸送面でも確保が重要になっている。そしてマリウポルを陥落させればロシア軍の士気が幾分回復し、マリウポリ約6000人の兵士をその他の地区に送ることが可能となる。


Why is Mariupol so important to Russian forces?

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