モニターヘッドホンと普通のステレオヘッドホン 5つの違い

ヘッドホンをAmazonで探したりすると、中にモニタリング用という謎のヘッドホンが出てきたりします。モニター用って何なのか、普通のヘッドホンではどこが違うのかを解説します。

モニター用ヘッドホンは音楽のレコーディングのときに使われるヘッドホンで、よく音楽のプロモーションビデオなんかで 歌手がスタジオでかぶって歌っているのを見たことがあるかもしれません。

あれは自分の声がどんな音で録音されているのかを確認するために使われます。歌手だけでなくて音を決める音響監督や、DTM作曲、動画編集の現場でも使われます。

モニター用は原音を忠実に再現する目的で開発されたマシンです。これが一般的な模範解答だと思います。

モニター用と一般のヘッドホンの周波数を比べてみる

ここで2つのヘッドホンが出している周波数を見てみましょう。

下の 青い線がモニター用、赤い線が市販のヘッドホンの周波数を表しています。

この市販製品は重低音が盛り上がっています 元の音楽よりもズンズン鳴るようにしています。
モニターヘッドホンは低音から高音まで 平べったい。なるべく偏りが少なく 原音に近い音を鳴らそうとしています。これが最大の違いです。

http://graphs.headphone.com/

横に周波数(10Hzから30kHz)
タテに出力レベルをとっています
これを見るだけでどの周波数が強調されているかが分かりやすいです

モニターヘッドホン5つの違い

①再生周波数が広い
モニター用は原音の再生が目的なので、再生可能な周波数領域が広めです。

市販のヘッドホンは20~20,000Hz、スタジオでよく使用されているモニター、ソニーMDR-CD900STは5~30000Hzです。

②ロングラン製品が多く、耐久性が高い
モニター用ヘッドホンはなかなかバージョンアップをしません。K240Sは30年以上同じ仕様です。録音スタッフが「あれ?前と音が違うぞ」となったら大変ですので、製品の仕様は変えずにずっと同じ形で販売される傾向にあります。

傷んだら部品の交換をすれば再使用ができるのも一つの特徴です。

またスタジオで多数の人に 繰り返し使われることが前提なので、コードやイヤーパッド、ヘッドバンド等が交換でき なおかつ耐久性が高いのものが使われています

③性能に対して安い
モニター用は一般用に比べて広告宣伝費をかけていません。さらにロングセラーモデルは研究開発費を回収し終わっているものもあるので、実は安価だったりします。海外製のものは円高になると安く買えるので、1ドル90円台になったら激安価格で買いましょう。


④聞き疲れする

モニター用は別名あら探しヘッドホンです。ノイズを発見して除去したり、サンプリングでミスっている箇所を発見することもあります。

良くも悪くも聞こえすぎる製品です。そのため、音楽を聞いていると、「今微妙に音外したな」とか「なんか小さくカサッてきこえなかった?」という細かい音が気になって止まらなくなったりするので、聞き疲れすることもあります

⑤高級な製品はインピーダンスがやたら高いものがある

モニターヘッドホンの中にはインピーダンス(電気抵抗)が高いものがあります。普通のヘッドホンは高くても32Ω程度で、普通のイヤホンジャックにさすだけでで聞けますが、ドイツの音響メーカーベイヤーダイナミック社が作るモニター用ヘッドホンは650Ωもするものがあります。これは普通にさしても聞こえません。

インピーダンスを高くするとノイズを抑えることができるのですが、抵抗が大きいと音量が小さくて聞こえなかったりします。その場合はポータブルアンプが必要になりします。


モニターヘッドホンは動画編集で威力を発揮

Youtube動画を収録する時に 普通のヘッドホンを使ってやっていたら どうも重低音寄りで聞こえてしまうので 「声が低いな」と思ってピッチをあげて出した所 失敗。

数カ月後に 別のヘッドホンで聞いてみたら 微妙に宇宙人みたいな声になっていて、変な声のバランスに仕上がっていました。そんなわけで 今は音に偏りのないモニターヘッドホンを使っています。


開放型と密閉型の違いについて教えて

開放(オープンエア)型:イヤーカップの外側が開いているので音が漏れる代わりに、スピーカーで聞くような、自然な音を聞くことが出来ます。周波数帯域が広いものが多いです。室内で使用する時に使えますが、屋外では赤面するので無理です。

密閉(クローズドバック)型:イヤーカップが閉じているので周りの音を遮断し、音漏れもしにくいタイプです。頭の中で鳴っているような感じの音が出ます。開放型と比較すると低音が強化されます。音漏れしにくいので屋外でも使いやすいです。

スタジオで使われている定番モニターヘッドホン

FOSTEX ヘッドホン T50RPmk3g

Fostex T50RP 

モニターヘッドホンも種類がありすぎて、録音する時にどれを選んでいいのか分からなかったりすると思います。そんな時はすでに評価が固まっている製品が良いかもしれません。

以下はいわゆる鉄板の製品で、どれを選んでも失敗はありません。ユーザーレビューの評価もどれも星4つ以上です。

確実なのはスマホにハイレゾ音源を入れて、大型電気店に行かれて、視聴されるのがベストだと思いますが、なかなか揃ってないのがほとんどですので、レビューを参考に導入されると良いかなと思います。

Sony MDR-CD900ST (\16,800)…業界で使われているロングラン製品 
AKG K240studio (\9,000)….30年以上続くAKGの定番モニターヘッドホン:オープンエア型
Shure  SRH440 (\9,078) …発売から10年目、作りは標準的でコスパが高いモデル
Sennheiser HD558 (\17,650)….Advanced Duofol振動板で自然な表現力
Fostex T50RPmk3g (\17,000)….独自開発の全面駆動の振動板が魅力(公式サイト


【関連記事】

・3000~10000前後の高品質モニターヘッドホン6選
・モニター用ヘッドホンで音楽を楽しむことはできるの?

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする