ラジオ放送と言えば、FM・AM放送を思い浮かべますが、いざ「FMってなんですか?」と聞かれると、説明は難しかったりします。今回は身近なようでいて、よく分からないFM/AMについてまとめました。
それぞれの放送にどんな特徴があるのか、またなぜAM/FMという名前がついているのか。それぞれの波にどんな特徴があるのかをまとめています。
AM放送/FM放送の特徴
AM(国内:526.5kHz~1606.5kHz)
AMは波長の長い中波を用いる放送で、電波の干渉が起こりやすく音質は良くない傾向にあります。しかし波長が100~1000mと長い事と、地球上空を取り巻いている電離層(地表約100kmあたり)で跳ね返るので遠くまで届きます。
電離層にはAMの電波を吸収しやすいD層と反射しやすいE層があり、昼間はD層の働きが活発なのでAM電波があまり反射されません。そのため昼間は遠距離のAM放送はきこえにくい傾向にあります。
しかし夜になると聞こえやすくなり、県や国を隔てて電波が聞こえることもあります。
FM(国内:76MHzから90MHz)
FMはノイズが入りにくく混線しにくいためクリアに聞こえます。電離層で反射しにくいうえ、波長も短いので県レベルの狭い範囲にしか届きません。
しかしAMに比べて多くの情報を伝えることができるため音声の質も良くなります。音楽番組などで音質がいいなと感じるのもFMが多いかと思います。
FM補完放送(90~95MHZ)
AMラジオが高品質のFM波で聞けるFM補完放送。FMワイドと呼ばれたりもします。
FM補完用の電波は地デジ化によって空いた90~108MHZのうち、90~95MHZ帯をAMラジオ局に使っています。電波の基本的な性質はFM放送とほぼ同じです。
AM波とFM波の違い
会話や音楽などを放送しようという時に、パーソナリティがタワーの上から叫んでも遠くに届きません。ではどうやって届けているのかというと、非常に高い振動数の電波(高周波)を使います。高周波の持つ遠くまで届く力を利用するわけです。
そのやり方の違いによってAMとFMは分かれます。
AMは (Amplitude Moduration:アンプリチュード モデュレーション)の略で、振幅変調と呼ばれます。 音声信号を電波の強弱の変化として伝えていく方式です。
FMは (Frequency Moduration:フレケンシー モデュレーション)
周波数変調と呼ばれ、音波を周波数の変化として伝えるやり方です。
こちらは それぞれの変調方式が感覚的に分かりやすい動画です
AM波の送信所とFM波の送信所の違い
AM波の送信所
AM波の送信所は地中に1/4波長くらい(25m~250m)のラジアルアースを埋め込まないといけないので、広い土地が必要です。そのため大抵は周りに遮蔽物のない郊外の平地にあります
画像:wikipedia 東北放送荒井ラジオ送信所
FMの送信所
FMの送信所はできるだけ高いところにないと遠方には届きにくいので、大抵 山頂の平たい場所に送信所が建てられます。こちらは気軽に訪問しにくいのですが登山が好きな方はおなじみかもしれません。「一番近い距離で受信したぞ」なんて喜んでる友人もいましたね。
KRY山口FM局 外観図 画像:エフエムKRY