FanaticalがゲームをSteamより安く売れるのは、制作者やパブリッシャーからSteamキーを大量に買う代わりに、安くしてもらっているからです。
ディスカウントショップと似ている。ちょっとストーリーにして解説してみます。
開発者から安く仕入れる ファナティカル
私はSteamと契約して 『スーパー猫ちゃん』を登録。Steamからは「このゲームをうちのプラットフォームで売っていいよ」と許可をもらい、Steamキー(ゲームを有効化するコード)を作れるようになりました。
Steamキーは、プレイヤーがSteamでゲームを「アクティベート」するために使います(例:「1234-ABCD-5678」みたいなコード)
開発者やパブリッシャーは、このキーをSteamで売ったり、Fanaticalみたいな別のサイトで売ったりできます。
『スーパー猫ちゃん』は中年男性に大ヒットしました。定価は20ドルですが 売れるたびにSteamは20~30%持っていきます。強欲ですね。私の儲けは14ドルです。『スーパー猫ちゃん』は毎月1万本売れていましたが、2年目になると人気が落ちてきました。
仕入れから出荷まで
そんなある日、『スーパー猫ちゃん』の評判をを聞きつけたFanaticalの人が来ました、私に「スーパー猫ちゃんのキーを1000個買うから めっちゃ安く(10ドルとか)で売ってくれませんか」と持ちかけてきました
私は「うーん、Steamなら14ドル入るけど、1000個一気に売れるならいいよね!」ってOKしました。
みんなが得する仕組み
翌日 スーパー猫ちゃんのライセンスキーをファナティカルに売却して 10ドル☓1000=10,000ドルをゲット。
ファナティカルは「スーパー猫ちゃん」を12ドルで販売しました。
ユーザーの人はネットでFanaticalを見て 「スーパー猫ちゃん」が 半額だー! という事で行列になって ライセンスキーの在庫が減って売り切れになる。だいたいそんな感じです。
Fanaticalの戦略 -セールとバンドルでガンガン売る-
Fanaticalは「Star Deal」とか「86%オフセール」とかで、めっちゃ安く売ったりします。プレイヤーを引きつけて、サイトの人気を上げるためです。バンドル(例:2ゲームで10ドル!)とかやって、ちょっと古い名作を売ったりしています。
- パブリッシャーもハッピー
パブリッシャーは「古いゲームのキーをFanaticalが大量に買ってくれるので、 大量に捌けるなら 5ドルでいいや」って感じで卸したりもします。Fanaticalはそれをバンドルにしたりして 安く売って、プレイヤーは「なんでこんな安いの!?」って飛びつく。
Valveはちょっと「むむっ」て感じ
だから 最新タイトルがFanaticalで安売りされると、Steamの「定価で買う価値」が薄れちゃうので 恐らく人気のうちは キー生成の価格を上げて
流れないようにしているんだろうって言われている。
Steamフォーラムで「Fanaticalは旧作は安いけど、最新作はSteamと大差ない」って声があるけど。あれもValveが最新作の安売りを抑えてるからだろうな。
- でもsteamが我慢する理由
- Fanaticalで買った人も、Steamでゲーム動かす。そうすると DLC(例:猫スキン2ドル)なんかを1万人が買えば、Valveは0.6ドル × 1万 = 6000ドル儲かる。
- Fanaticalがパブリッシャーの在庫を処分してくれると、パブリッシャーも「資金が入ったし Steamで新作作っちゃお!」ってなる。Steamのゲームラインナップが増えて また儲かる。
- SteamはEpic Games Store(手数料12%)とも競争してるから、Fanaticalを締め出しても パブリッシャーはEpicに逃げちゃう。
Fanaticalが「1万本売るよ!」って言っても、パブリッシャーが「まだ人気だし最新作だから5%くらいしか値引きできないな」って断ると、Fanaticalにキーは入らない。だから最新タイトルは、発売直後だとFanaticalで割引が少ない