マルチ・ポテンシャライトの書評「とりくみが続かない人のための処方箋」

長続きしない所にも良さはある

マルチ・ポテンシャライト 好きなことを次々と仕事にして、一生食っていく方法

一つの事が長続きしない。しばらくしたら興味があっちこっちに飛び回る。

でもそれって そんなに悪くないのかもしれない。ってのが書かれているのがこの本です。

作者の動画はTEDにも上がっています。動画ではあらすじが語られているので ガイダンスとしていいかもしれません。

この本はどんな内容か

最初は頑張ろうと思ってめっちゃ頑張るけど、すぐ飽きる。

なぜか知らんけど 途中で燃料タンクがカラになってしまう、そんな冷めやすい性格に悩んでませんか?

そんな時はこの本が役に立ちそうです。 長続きしない自分を責めるのではなく、その性格の良さや強みが見えてくるはず。

「私って ひょっとして人より好奇心が強くて、挑戦心が強い性格なんじゃないの?」と強みが発見できたりします。

縦に深く掘るんじゃなくて、横移動するのも悪くないのかもしれないなと自信が湧くかもしれません。

1つのやり方にこだわることは良いことだろうか

例えば 原始時代の場合、獲物がとれない所でずっと待ってたとします。すると餓死して死んでしまうし、残された食料をめぐって部族の縄張りバトルが始まってしまうかもしれません。

そんなわけで祖先は「もうここはダメっぽいから 北に行ってみよう」とか思って 分散して生き残ってきたわけです。

現在も似たような状況で、もう会社も先行きが分からない状況だったりします。

定住して獲物を狩りつつ 空いた時間で あっちこっちでチャレンジしたほうが経験値が上がって得をするのかもしれません。

あれこれ手を出すのは悪いことなのか

本文でも語られていますが、あっちこっちに手を伸ばすというのは 日本だけでなく世界でもあまり印象がよくありません。

でも実は あっちこっち学習は 小学校から やっていたりします。例えば国語だけをぶっ続けで6時間やったりはしません。

国語の後に図工をやったり、算数の後に 音楽で歌ったりする。実は飽きがこないよう、偏らないようにしているのが自然なのかもしれません。そうしないと自分が得意な分野もよくわからくないですか?

大人だって人間だから飽きるのが自然のような気がします。

飽きが速い遊牧民タイプは つなげることで強くなる。

それじゃあ、気が散りやすいタイプは どんな強みがあるんでしょう。さすがに1つを極めるスペシャリストにはなれません。 でも幅広く手を出すと、横のつながりを強く出来ます。

例えば こうした記事を大量に書いていきます、すると題材の選び方で悩みます。

で 内容の選び方に慣れると、次に「ゲーム配信でもやってみよう」かと思った時に 企画を思いつくのがラクです。

そしてゲーム配信はプレゼンと同じですので、短い時間で人を引きつける能力がつきます。

記事を書く→ゲーム配信をする→プレゼンがうまくなる

このように あっちこっちに手を出して、エリアを広げてできることが増えていく。 これが横に広げる人の強みだと言えそうです。

一方でゲーム実況だけやっていれば プレゼン/企画スキルが特化してうまくなりますがYOUTUBEが潰れた場合、コンテンツが消え去ります。


本文には 飽きっぽい人へのヒントがたくさん書かれています。あんまりネタバレすると怒られそうだから要約だけにしますが、

・器用貧乏なんてのはハッタリ
・先が見えるから 冷める。
・10000万時間やれば誰でもプロになれるとか大嘘。
・気が散りやすい人の生産効率の上げ方
・飽きるから 短い時間で 何度もトライ
・全員がイチローにならなくていい、 誰かの役に立てばいい

などです。

特に気に入ったのは第8章「自分にある生産システムのつくりかた」
生産性をあげるためのコツがいくつか語られている点です。

他人から得た反応や成果ではなく、自分が取った行動を記録しよう。たとえば、「私の記事が雑誌に認められた」ではなく、「私が雑誌に記事を売り込んだ」と書くほうがいい。そうすれば、自分の行動に目を向け、それを重要な要素と考えるようになるからだ。

たとえば文章を発表したとします。当然 「なんだこれ」と感想をもつ方もいるし、「いいじゃないの」という方もいます。

しかし個人の評価はその人の価値観によるから誰にも操作できません。だけど誰かのために発表した事実が残る。ここに重点を置けと筆者はいいます。

たしかに評価は予測不能だし考えても無駄です。ならば 今日は自分に何が出来たかを重視すれば良いとそういう考え方です。プラス思考です。

たとえ一つの分野に人生を捧げても、決してナンバーワンにはなれないだろう。どんなときも、自分よりデキる人もデキない人もいる――それが人生だから。

ほかのみんなより上に立つことを目標に何かを追求したら、他人と闘うことになり、常に誰かと比べて自分を責める状況を生み出してしまう。

そんなことより、プロとして使える、自分が納得できるレベルまで能力を磨くことに専念したほうが、ずっと役に立つだろう。


発表は良いけれど SNSは体に良くない。

出力の話に関連して

今はツイッターやSNSが大人気です。しかしあれはあまり良くないそうです。

自分のコメントがどうだったのか 求めていないのにすぐ評価されてしまいます。

「今どこどこに来ている」とメモ代わりの なにげないツイートでも評価されてしまう。

評価されるためのツイートを投稿しようとして、神経がすり減っていくそうです。儲けるのはツイッター社です、読者が勝手に面白い投稿をしてくれるからPVが稼げます。

書き手は無意識的に操作されています。そういう風に設計されているのが罠です。

インスタ映えを気にしながら写真投稿するのも 心理的に同じシステムなので、投稿者は疲れます。

さらに悪いことには SNSでは 他人の「ミッキーマウスと握手した」ようなベストな瞬間があがってるので、投稿者と自分とを比較して 鬱状態になりやすいという研究成果もあがっています。

結局 読むのも投稿するのも害になります。SNSに落ち着きのある日常はありません。

詳しくは「あなたの脳は変えられる――「やめられない!」の神経ループから抜け出す方法 」に書いてあります。

評価を気にせず 続けられる環境づくりをするのがポイントです。


感想

本書を振り返ると、いろいろなものに手を出す(マルチポテンシャル)という響きが美化しす過ぎのような感じもします。そこはあまり好きじゃありません。

ただ人の考え方を理解する幅が広がる意味で良い本です。

読みながら 1つの会社で一本気に仕事をするのを良しとする。キツくても文句言わず最後まで。という精神は雇用する側にとってしてみれば とても都合がいいなと思った次第です。

気が散りやすいという性格の方で、自分をどうやってコントロールすれば力が発揮できるのか そのヒントが欲しい方は読んでみられると益があって良いのではないかと思います。

本書にはその内容が詳しく書かれているので、気に入られた方はどうぞ読まれて下さい。


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