映画トゥルー・グリットのネタバレ解説

1890年くらいのアメリカ中央部が舞台のコーエン版「トゥルー・グリット」
映画をパッと見ただけではよく分からなかったシーンを原作を読みつつ解説したいと思います。メモ書きです。

トゥルー・グリット (字幕版)

チェイニーとマディーの関係がよく分からない
マディーの父はアーカンザス川の南に480エーカーの土地を持つ けっこう裕福な農家でした。綿花などを売買していましたが、そこに ならず者チェイニーがふらふらと迷い込んできて、あまりにも貧乏そうだったので、マディーの父が親切心で小作人として雇いました。

なんでマディーの父はフォートスミスに行ったの?
農家であるマディーの父は250ドルの大金を持って、フォートスミスで安売りされているポニーを買い付けに行きました。父は本当は一人で行きたかったが、チェイニーは農場生活に飽きており、フォートスミスで博打をするために無理やり着いてきました。

チェイニーはなぜ父を撃ったのか?

チェイニーはフォートスミスでの博打に負けて給料を全部すりました。博打に負けて 激怒したチェイニーは「イカサマだ」と主張し、宿に置いておいた自分のライフルをもって、賭博場に乗り込もうとしたが、マディーの父が止めたので、腹いせに撃ちました。

多分 父がお金を持っていたし、もう農場で働くのも嫌だったので、有り金持って居留地に逃げようと思ったんでしょう。

チェイニーはなぜ居留地に逃げたのか?
インディアン居留地は インディアン達が押し込められた場所で、警察の手が及ばない無法地帯だったからです。おたずね者が逃げ込む場所になっており、いつインディアンや野盗に襲われて殺されてもおかしくない地獄のような世界です。

バグビーの店の前で馬をいじめてるインディアン二人のシーンは何が言いたいの?
原作ではインディアンと白人の二人組が、ロバをいじめていて、それに憤慨したコグバーンがふたりとも泥の中に蹴り落とすというシーン、動物に優しいコグバーンというシーンなんだけど、なんか映画だとインディアンに容赦ない感じに見えます。

フォートスミスの 3人の処刑シーンでインディアンだけ口上を言わせてもらえなかったりしますし、その頃の人権蹂躙の具合はそんな感じだったというのを強調したかったのかもしれません。原作だと少年が悪者ヴァージルの足取りを教える事になっています。

居留地で現れたクマのおじさんは何?

原作にもない謎のおじさん。役割的には敵の位置を教える道しるべ役だけど不気味。

歯医者とか言ってるけど、居留地に住んでいる時点でまともな人ではないです。死体から歯を抜き取るために インディアンと死体の交換をして、マディーの跡をつけてくるし居留地の不気味な感じを与えるためのキャラクター。

居留地で高い木に吊るされてた人は何?

おそらくインディアンとトラブルになって吊るされたお尋ね者。コグバーンもなんであんなに高く吊るしてるんだろうなみたいに言ってるので、どの部族なのかよくわからないインディアンが吊るしたらしい。誰も降ろさないし、居留地の治安が地獄というのがなんとなく分かる。

コグバーンはなんで馬(ブラッキー)を射殺したのか?

マディーを救うため、馬はコグバーンに背中を斬られたりして限界まで走らされました。限界を迎えると あとは苦しみもがいて死ぬだけなので、苦しみを止めるため介錯のような形でとどめを刺しました。

マディーはなぜ結婚しなかったのか?

保安官とは年が離れてるし、なにより向こうとも音信不通でした。マディーは父を失ってもそれなりの土地は有り、家を守らないといけないので結婚とかそんな暇はなかったらしい。母親の介護もあったし。それでもかなりの資産は築いたらしく、マディーの資産を狙って結婚従っていた男性も多かったけど全部無視したらしいです。 最後は綺麗なドレスを着て登場しています。

マディーが最後に 「座っとけクズ」といったのはなぜか?
マディーが悪態をついたのは フランク・ジェイムスという男で、南北戦争時に南軍ゲリラとして戦い、女性・子供も含む200人が殺された ローレンスの虐殺にも参加していた、クソ野郎でした。(指揮していたのはウィリアム・クアントレル)

・あと 女性が来ているのに席を立たない。
・友人が死んだ話をしているのに帽子をとって敬意を示さない
複合的な理由です。

作家のチャールズ・ポーティスは1933年生まれで84歳 存命。
トゥルー・グリットの舞台であるアーカンソー州生まれ。 あんまり大量に書かない作家で5作品しかない。朝鮮戦争に従軍した後、アーカンソー大学でジャーナリズムを学んで記者となる。その後 故郷に帰りフィクションを執筆する。1968年に発表されて、大ヒットとなり翌年ジョン・ウェイン主演で映画化される。アメリカでは教科書に載るほどの人気作で、かなり愛されてる作品の一つ。現在もアーカンソー州に在住。

マディは復讐を遂げたけれども、片腕を失うし生涯独身。アル中のコグバーンは強いのか弱いのかよく分からんまま、最後の決闘で大活躍して マディーを助けて去っていくという。できなさそうに見せといて やる時はやる 現代とは違うズシンと来る何かを与える作品です。


phote:https://www.youtube.com/watch?v=CUiCu-zuAgM

'True Grit' Trailer HD
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