最強=勇次郎ではない
巷の意見では「範馬勇次郎が最強」なのだそうですが実は間違っておりまして、最近では勇次郎の父 範馬勇一郎というのがでてきたり、範馬バキが 親子ゲンカで範馬勇次郎と実質引き分けにまで持ち込んだりと、「勇次郎が最強」というのは「過去はそうでした」という昔ばなしになってしまいました。
そもそも誰が最強なのかは作品が完結しないと決まらないし、完結したとしても 作者が勇次郎VS勇一郎、勇次郎VSバキを描かない限りは分からないというのが実情だったりします。
多分バキマニアの人に「最強は誰?」と聞いたら 拳立てしながら「愚問だな」と言うでしょう
そもそも この漫画・アニメは最強が誰かというのは プロ野球でどのチームが1位かと同じような話で、測定した時期によって違います。バキも最初は柳に負けます。
そして漫画バキの魅力は誰が最強かというよりは、格闘シーンで相手をどうぶちのめすか、読者をどうビビらせるかという所にあるような気がするわけです。
バキの構造
バキという話は 3種類の人間がいれば成立します。
①踏み台…やられ役(モブ)
②第一捕食者…モブを倒す役(シバター)
③第二捕食者…第一捕食者を倒す役(朝倉未来)
基本的に この繰り返しでバキは進んでいきます。まず①が②に喧嘩を売るか、②が①をペロペロしゃぶるところからはじまります。
②は①をなるべく残酷に倒さないといけません。ドイルが看守を倒して縄に吊って脱獄するのもそうだし、ドリアンが空手教室の生徒を次々にボコるのも②を強く見せるための演出です。
②ドリアンは ①加藤みたいな中途半端に強いサブキャラをなるべく痛めつけないといけない。凶器や毒霧、ワイヤー、手榴弾、火炎瓶、割れたガラスの破片、目潰し、反則技をふんだんに使うのが望ましいです。
そして 読者に「ああ こいつは卑怯なキャラなんだな」と思わせれば仕上がりです。
そして読者が②に飽きた頃に烈海王や愚地、範馬勇次郎などのゴリゴリの正統派格闘家に完膚なきまでにぶちのめさせれば仕事は完了です。できるだけ②が卑怯な手を使って みじめに負けるほうが良いです。
そういった意味で花山の価値を高めたのは 半分はスペックの手柄と言えます。
しかし このやり方は③を表彰台にたたせるために①②が必要になります。いわば③を上げるために①と②が必ず必要であって、この3種類の人間の共同作業です。
そのため①②を殺してしまうと、新しく追加しないといけない。非常に面倒なので、なるべく延命させたいわけです。
そのため アントニオ猪木や加藤は「これ死んだよね?」と読者に思わせながらも、生きていたりする。死なせるとまたキャラを新しく考えないといけません。でも面倒なので②はなるべく殺さないほうがいいわけです。
この①②③に入る人間は重複してもいいです。
最初のバキは 毒手使いの柳にボロ負けします。柳は後でバキがリベンジするので、①がバキ②が柳、③がバキという使い方もできます。キャラも減りませんし 非常に楽です。
そして①②③を循環させると永久に話を続けることが出来ます。例えば①渋川②柳③渋川という流れにすると 自動的に①柳②渋川という流れも出来るので ③柳を発生させることができます。
バキの本質というのは終わりのない戦いの繰り返しであって、どういう戦いをするか、どうやって相手をぶちのめすかです。強さランキングが日々更新される宿命を持った漫画なので 最強固定=作品の死なわけです。
そういったもので、正直 核をくらって「生きてました」まで来ると もはや格闘家どころか 人間でも無いわけだけれども、「前よりも強く」というインフレ描写にどこまで作者が挑戦できるのかというのが見どころだと思う。
でもここまでくると 強さが客観的にはわからなくなると思うので、一回リセットして もう一回地に足をつけた格闘マンガからスタートしたほうが楽なのかもしれない。そう思うわけです。
付録:アニメ版バキの勝敗表
ドイル>ロビンソン
バキ>分銅男+ナイフ男
スペック>バキ
柳>渋川
ドリアン>克己
ドリアン=烈
シコルスキー>元柔道世界一
シコルスキー>いがり
シコルスキー>いがり
花山>スペック
柳=渋川
柳>バキ
ドリアン=独歩
ドリアン>加藤
ドリアン>末堂
独歩>ドリアン
烈>ドリアン
オリバ>ジェフ
範馬勇次郎+オリバ>シコルスキー
バキ>シコルスキー
オリバ>シコルスキー
オリバ=ドイル
渋川>オリバ
ドイル>昴昇
ドイル>烈
ジャック>烈
独歩>ドイル
カツミ>ドイル
バキ>柳
ガイア>シコルスキー
オリバ>ドイル
オリバJr=範馬勇次郎
範馬勇次郎>劉海王
郭海皇>サムワン
範馬勇次郎>サムワン
オリバ>楊海王
範馬勇次郎>バキ
オリバ>龍海王
烈海王>寂海王
ビスケット>範海王
範馬勇次郎=郭海皇
アライジュニア>渋川
アライジュニア>独歩大蛇
ジャック>アライジュニア
渋川>アライジュニア
独歩大蛇>アライジュニア
アライ>アライジュニア
バキ>アライジュニア