【薬屋のひとりごと】当時の人が 命がけで宦官になった動機ってなんだったの?

宦官手術、最悪3割が死ぬ

唐の時代、壬氏様のように宦官になるのは大変でした。皇帝のハーレムこと「後宮」に男は入れません。ゆえに大事なバットとボールを除去しなければなりませんでした。

当時は医療が発達しておらず、消毒の概念も無いので、早い話がヒモで部位を縛って止血し、動かないように手足を縛り、汚い部屋で 汚いナイフを使って切るものだから 傷口からバイキンが入り、敗血症や破傷風やらで1~3割が死ぬ(推定)という命懸けの手術でした。やはり女性、女性しか勝たん。

 

では なぜ危険を冒してまで宦官になったのか?

 
・金銭的な理由パターン
調べたら まず貧乏からの脱出がデカかった。唐の時代は 農民とか下層階級の人は貧しく、毎日食うのに困るレベルでした。飢饉、戦争、水害の時は尚更。でも子供を宦官にすれば、宮廷で働けて安定したメシと給料が。マオマオみたいに 息子を宮廷に送り出して仕送りをもらってたご家庭が相当あったのですね。
 
宦官になる手術を受けたのは7歳~15歳が主流で、それ以上はレア。当時は子供に将来選択の自由なんかない時代だから 親や周りの大人が「これが家族のため!」って決めるケースがほとんどだったらしい。
 
・リスク&報酬 天秤パターン
それと、他に出世の選択肢が険しかったってのも大きい、 科挙(官僚になる試験)は金持ちや教育受けた人向けで、貧乏人にはムリゲー。宦官なら、リスキーだけど去勢さえ耐え抜けば 宮廷に入れるから、底辺から這い上がる数少ないギャンブルだった。
 
・権力追求パターン
宦官は、皇帝のそばで働くから、うまくやれば政治や軍でバリバリ影響力持てるようになる。成功すれば一攫千金、お家に金が転がり込んでくるという野心で 割と下の層の官僚が 優秀な我が子を宦官として送り込む動機があったらしい。

・忠誠の意思表示パターン
あと、文化的に「宦官=皇帝への忠誠の証」みたいな見方もあって、「我が一族は皇帝に忠誠を誓っています」という意思表示で親族の子を宦官に差し出したなんてこともあったらしい。
 
リアルではどんな出身の人たちが よく宦官になっていたのか?

唐の時代の 後宮は皇帝の生活空間なのでトップシークレットでよく分かりません。明確な数字も史料にはありません、歴史家の推定や当時の他の証拠に基づいて、宦官出身者のだいたいの割合を考えると….

  • 農村・貧困層出身(60~70%くらい)
    これがたぶん一番多かった。唐の人口の8~9割は農民で、貧困層は食うのに困るレベルだったから、子を宦官にして宮廷に送り込まれていたんだろう。地方の貧しい村から、親が「これで家族が救われる!」って決めて、10代の少年を去勢して宮廷に売り込むパターンがめっちゃ多かった。
    特に、地方の奴隷商人とかが カネに困った家の子を集めて買い取り、去勢して宮廷に送るビジネスもあったくらい。

  • 犯罪者・捕虜(20~25%くらい?)
    「なんで犯罪者が宦官になるんだ」って思うけど、反乱や謀反に関わった貴族・官僚の息子とかが中心。捕まえた兵士に「デス or タマ?」みたいに聞いて、しょうがなく宦官になる人もいたようだ。政治闘争で負けたエリート層の子供とかが 連座で去勢されて宦官にされるケースもあった。捕虜は戦争で捕まった若者や降伏した外国の敵兵も多かったらしい。 後宮は広いから 土木、運搬、建築に警備と労働力が必要になる。捕虜ならタダ同然で使えるので便利だったらしい。

  • 貴族・有力者の子(5%以下?)
    そもそも貴族は地方豪族や中級官僚なんかを含めても5%しかいない。貴族から宦官になった人はレア中のレア。大体 失脚して連帯責任で去勢される場合がメインで、あとは、地方の豪族なんかが、皇帝への忠誠を示すために自主的に自分の子や親族の男を献上することもあったけど、これも稀だったらしい。貴族なら選抜も通りやすく 宮廷で重用される確率も高かったのは間違いないと思うけど、多くて5%くらい。

  • 周辺地域・異民族(5%以下?)
    唐の以外の外国から来た少年や捕虜もいた。戦争で捕まったり、貢物として送られてきて宦官にされた。こうした異民族の宦官は 皇帝の権力を示すための「シンボル」として強烈だっただろうし、外国では去勢がそこまでタブーじゃなかった地域もあったから、供給源としては一定の割合いたらしい。「ひとりごと」でも 異国人の宦官がでてくるかも知れません。

 

田舎っぺが どんな風に宦官になってたのか?

・7歳から15歳までの男の子を 後宮でやれそうかどうか審査。
忠誠心高そう、健康そう、美少年とかだと優遇して取る。
宮廷内の医局で手術。3ヶ月くらいで死亡/生存に分かれる
内侍で宮廷内のマナーについて教育。
・先輩宦官について実務開始。
・優秀な人は 政治・行政を扱うコースに移動
大体こんな感じです。

 

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