米国シンクタンク ウッドロウウィルソンセンター所属、近世史専門のガリーナ・スタロヴォイトヴァ氏のツイートが面白い。
https://twitter.com/kamilkazani/status/1497306746330697738?s=20&t=1bktXMWD01LTXLQ74zv15A
(要約)プーチンはウクライナ人を「ネオナチ」と呼んで、ナチを解体することを約束した。こうした 敵勢力への 一方的なナチ呼ばわりは ロシア政府が自分たちの行いを正当化する時に使う道具となっている。 |
なんでそうなったのかは少し歴史をさかのぼる必要がある。
ソ連がナチスを育てた。
⇢ 第一次世界大戦でイギリスとフランスが勝利したのを見て「西側が栄えるのはイヤだ。」と思った ソ連の指導者スターリンは、ボロクソに負けたドイツの軍事力を鍛える事にした。
それまで 弱小だったドイツは自分の軍隊に適切な訓練を施すことができなかった。しょうがないのでスターリンは、ドイツの将校をソ連の学校に招待して 最新兵器に慣れさせた。
後に電撃戦で有名になるドイツ将校グデーリアン(写真右)は カザン戦車アカデミーで戦車の運用を学んだ。
もちろん こうした援助はロシアの優しさではなかった。スターリンのもくろみでは ドイツを鍛えて戦わせればヨーロッパが分断される。双方が疲れきった所を ソ連が攻め込んだら 理想の共産主義国家を作れる(支配地域が広がる)というものだった。
誤算:ナチスドイツが強くなりすぎた
ナチスドイツは強くなってWW2開始。連合国側を次々と撃破・吸収していった。ヨーロッパは戦場になって疲弊したが、ドイツはやたら強くなりすぎた。
スターリンは間抜けで「でも、ベラルーシには西部戦線という最強部隊がおるから 自分たちは大丈夫たい。」と思ってたら あっさり負けて 1941年には ソ連まで食われかけた。
ソ連がボロ負けするのを見て「このままではナチスが世界征服してしまう」と慌てたアメリカ・イギリスはソ連と同盟を組んで、アメリカはソ連に大量の物資を貸し出ししてナチスドイツを撃破した。
「俺に逆らったらナチス」までの変化
ソ連はナチスドイツを支援したにも関わらず、一回被害者になって撃退した所で 話が変わって 親ナチではなくて 反ナチになってしまった。
この ナチス・ドイツに勝ったから正義という話は、やがて叩くのがナチスなら正義という話にすりかわっていく。
プーチンの中でナチス認定は 自分たちの支配に反対する外国人を黙らせるための道具でもあり、プーチンに反抗する勢力はナチス認定される。
今回も プーチンはウクライナ政府をナチだと言いがかりをつけて 叩き潰すことで 自分の支配が正当なものであると ロシア国民に知らしめたいわけである。