ノイズキャンセリングヘッドホンとは?
周囲のうざったい雑音を弱めるノイズキャンセリングヘッドホンについて、
良さや、使われている技術について簡単にまとめてみました。
ノイズキャンセリングの便利な点
うるさい車内で音楽を聞こうとすると ボリュームを上げないといけませんが、ノイズキャンセリングなら、それほど音を上げなくて良いので、小さな音で音楽が聞けて耳を傷めません。
飛行機や列車や深夜バスなどの”ゴーッ”とか”ガタンゴトン”という運転音が静かになるので移動中にぐっすり寝やすくなります。
ノイズキャンセリングヘッドフォンの弱点
・電力消費が多め
通常のヘッドフォンと比較するとノイズを処理するための回路に電力が消費されるので、音楽再生時間は最大で半分くらいまで短くなります。
・ 有線式の場合はコントロールボックスが付く事が多い
有線型のノイズキャンセリング機は電池や操作部分が搭載されているコントロールボックスが付くため重量が増します。一方の無線型は回路の小型化が進んでいるため重量はほぼ変わりません。分解されている動画もあったりします。
アクティブノイズコントロールって?
端的に言えば、周囲の音と反対の音波をぶつける事でノイズを減らす技術です。
周囲から雑音がとんできたとします。そのとき 雑音と正反対の音波をぶつけると2つの音波が打ち消しあって雑音が消えるしくみです。
1950年位からヘリコプター内の騒音を抑える技術として この技術が実用化されたそうです。当時は大型でしたが、現代では部品が小型化されていてイヤホンでも本格的にノイズキャンセルできるマシンが登場しています。
電車のガタンゴトンという低音にアクティブノイズコントロールを使うと 騒音が1/3~1/5くらいに抑えられます。
どうやって正反対の音波を送るの?
ノイズキャンセリングヘッドホンの内部には 周囲の音を測定するマイクがついています。これで周りの雑音をキャッチしたらすかさず回路でそれを打ち消す音をつくって流す。こうしてヘッドホン内の雑音が消える仕組みになっています。すげー。
市場で出回っているアクティブノイズキャンセリングはほぼ アナログな技術が使われていますが、これとは対称的にリアルタイムデジタルプロセッシングという手法でノイズキャンセルを行っている製品もあります。
犬の声とか、人の声とかどんな音でも消せる?
いいえ。アクティブノイズキャンセリングは、突然の犬の鳴き声とか人の会話などは そこまでキャンセルしてくれません。また高周波も苦手です。機械音などの周期的な低音を打ち消すのが得意です。
これはBOSE社のQC25をテストされている動画です。耳に小型マイクをつけて、スピーカーから大音量で雑音を流してノイズキャンセルの具合をテストしています。
3:40の「バー」の場面や4:00あたりの「オフィス」では人の声が少し聞こえてきます。自然音を流したりすればそんなに気にはならないレベルにはなるかもしれませんが、BOSEの技術でも無音では厳しいようです。
一般に高い音はヘッドフォンの耳あてで音波を吸収しているのが現状だそうです。高周波は波長が短いため、それを打ち消すための回路設計が難しく、コスト的にそういう構造になっているそうです。
パッシブ ノイズ アイソレーションって何?
端的に言えばイヤーマフのようにリスナーの耳をすっぽりおおって 外の音が聞こえないようにすることです。サウンドプルーフィングと言ったりもします。日本では密閉型という表記が多いです。
↓こんな風に耳を覆うオーバーイヤー型がほとんどです。
amazon.com
アクティブノイズキャンセリングのように雑音に音波をぶつけたりはしません。受身な遮音なのでパッシブ(受動的)というネーミングなんだそうです。アイソレーションは分離とかいう意味ですね。パッシブだけどノイズを分離するっていう意味なんでしょう。
余談ですが Amazonのなかには 2000円台でも「ノイズキャンセリング」なんて書かれている商品があってびっくりします。すごいなと感心しながら説明をよく見ると、このパッシブノイズアイソレーションのことを指してたりします(笑)
見つけた時は光の速さでカートに入れたくなりますが アクティブノイズキャンセリングかどうかを確認したほうが良いかもしれません。
ノイズキャンセルの性能って分かるの?
各ヘッドホンはデシベル単位で 全体のノイズキャンセルの量を表示したりするものもありますが、数値を比較して性能の測定をする事は難しいようです。
例えば20デシベル下げますとあっても、周波数によってはそこまで下げていなかったりするので目安としてしか使えません。
こちらの動画が3台のノイズキャンセリング機を測定していますが、周波数に応じてどの程度キャンセリングしているのかが分かりやすくなっています。
ノイズキャンセルの歴史について教えて。
米国のwikiによると…
アクティブノイズキャンセリングの最初の特許が出願されたのは1936年。米国の発明家ポール・ルーグ(Paul Lueg )によるものでした。最初の特許はダクト内の正弦波を低減させる内容でした。
以降ノイズキャンセルは1950年台、米国の科学者ローレンス・J・フォーゲルによって、ヘリコプターや航空機のコクピット内のノイズを抑える技術として進化します。
当初は航空ビジネスやファーストクラスの乗客席で使われていました。電気装置は肘掛けの所に入っており大型でしたが 音を打ち消す原理は現代と全く同じです。
不眠症対策として
ここ最近では ノイズキャンセル技術が 不眠症や睡眠障害に悩む方の助けになるとして使用される機会が増えてきました。パッシブ型もアクティブ型も周囲の騒音を削減することができます。
夜中のクラクションやいびきは快適な睡眠の邪魔ですが、ノイズキャンセル睡眠用ヘッドホンと耳栓はこのような方のために設計されています。
参考url:forbes.com
Active noise control -Wikipedia, the free encyclopedia
Noise-cancelling headphones -Wikipedia, the free encyclopedia