「最近読んだ本の中で あれはスゴかった。世の中の作品がどんな要素で出来てるか分かるし、一回読んどいたほうが良いかも。」と 連載中の漫画家の先生が絶賛していた この書籍
作者は漫画「子連れ狼」原作の小池一夫先生、
漫画原作の書き方や、実際の原作を見ながら構成について語られているので、「このキャラってこんな狙いで作られてるっぽいな」とか「このシーンっていらなくない?」とアニメやラノベや映画の見方が新しくなります。
面白いなと思って、その後 小池さんの書籍を複数あたりましたが、最初はキャラクター創造論の方が初心者向けなので分かりやすいかと思います。定額で読み放題のkindle unlimitedでも読めますので、加入されてる方は是非どうぞ。
というわけで、キャラクター創造論の内容を元に少し紹介
読者をお話に引き込むために絶対に必要な要素は?
残念!引き込むために必要な要素は作者の設定した「ナゾ」だそうです。釣りで言うエサです。
例えばバラエティ番組でさんまさんが「お前 最近えらい目にあったそうやないか~」というのも謎。「マックシェイクを3年間飲み続けた結果…」というアレも謎です。
視聴者は思わず”なんだろう”と思って、続きを見てしまいます。物語の造り手は このように「謎」を自由自在に使える謎使いにならないといけません。
謎と言っても 分かってしまえば「なーんだぁ」というものでいいです。例えば、”炊飯器の中で何かが動いてる気がする。そっと開けてみると…タワシが入っていました”みたいなものです。
しかし「謎」だけあっても物語にならないので、謎を追いかけるストーリーが必要です。
<まかせろ。オレが最高傑作「もののけフレンズ」をつくってやる!
そんなわけで、初心者は張り切って「面白い物語を作ろう」とストーリーを考えるのですが、これは実は難しいので 挫折してしまいがちです。ですので初心者の方はストーリーの前にキャラクターを考えたほうが良いそうです。
キャラ作成のコツは「敵」にある
それで 魅力的な主人公を考えようとします、例えば孫悟空のような元気いっぱいの主人公が思い浮かんだとしましょう。
しかし物語の中で、悟空一人だけいても、どう動かして良いんだか まるっきり分かりません。ここで重要なのは 主人公とセットで正反対のキャラを作ることです。悟空が正義だとするなら悪の代表を作ります。
例えばピッコロ大魔王です。悪役を作ることによって、主人公が何をしていいか分からない状態から抜け出せるわけです。ピッコロ大魔王が人類を次々と殺していく事で、主人公と対決する物語が動き出します。
脇役は何をするのか
主人公と悪役が完成しましたね。とりあえず これだけでストーリーを進めてみましょう。
悪役「フハハハ!私は魔族の頂点に君臨する大魔王だ!さあ かかってこい!」
主人公 「オラは孫悟空! オラの必殺かめはめ波で悪いやつをやっつけんぞ」
はい、このように全部 自分で説明するのは無理があったりします。そこで、どうすれば良いかと言うとサブキャラです。
主人公や大魔王の周りをウロウロしてよく喋るキャラを作ります。こいつに「お前がウワサのしっぽ小僧かっ!」と言わせたり、悟空をだましたり、大魔王に無残に殺されたり、 読者の知りたい主人公の秘密を聞かせたりすることで、主人公や悪役の特徴を際立たせる事ができます。
ドラゴンボールでいうとクリリンというのは最初 修行をサボるズルい存在なんだけれども、その結果、悟空がマジメに見えたりします。サブキャラは物語の中では重要な立場ではありませんが、周りのキャラクターの印象を決める役割なので欠かせない存在です。
主人公-敵-脇役は3種の神器みたいにセットなんですね。
ドラゴンボールではセルを倒すあたりから 主役が孫悟飯っぽくなるんですが、初めて読んだときには 突然の主役交代に違和感があったのを覚えています。
その原因が長らく謎でしたが、恐らく孫悟空が悪役たちと積み重ねてきた物語と 孫悟飯が作ってきた物語の量に差がありすぎたせいで 孫悟飯にはそれほど感情移入できなかったからだと思います。女性には孫悟飯は人気なんですけどね(笑)
キャラクター創造論は自分でキャラクターを創造したい! という人にももちろん役に立ちますが、作品を見る時に「このキャラクターはどんな役目を背負って登場させたんだろう?」というような新しい観点が増えるのでオススメです。