見てきたんだけど失敗だった。
脚本 庵野秀明っていうのを過大に期待したせいで 「シン・ゴジラ」レベルなのかと勘違いしたけど、それはハードルが高すぎた。
シントラマンの鑑賞はレンタルまで待ったほうが良い。いや 良い子は全く見ずに、シン仮面ライダーにお金を取っておいたほうがいいまである。
ヒロイン長澤まさみはキツい
まず長澤まさみさんはもうヒロインとして機能してませんよ。34歳ですよ? キツイって。
石原さとみとは比べもんになりませんよ、大幅に見劣りします。なんで下から顔のアップを撮るんですか、顎肉フェチってそんなにいないと思います。
「お前 コーヒーも持ってこれねぇのかよ」みたいなのは美人が言うなら我慢はできます。 が長澤が言うのかと。 松岡茉優とか本田翼が言うなら分かるけど、長澤が言っても腹しか立ちませんて。格とセリフがまるで合ってない。
そもそも顔パンパンの34歳が 私とバディを組んだ男は みんなチヤホヤしてくれると思っている設定が もうどうかしているし、一緒に働き始めて数日で 「秘密は共有しろよぉー」とか「あたしたちチームじゃないのかー」とかは頭おかしい。
巨大化、臭いチェック、セクハラと役満ですよ。途中で怪獣に食われて「人類をお願いね」と言わせるくらいの役でいいもの。
これは長澤さんが悪いんじゃなくて キャスティングの問題でしょう。
怪獣への愛情が感じられない設定
一番わけわかんないのは、「怪獣は宇宙人が地球侵略のために送り込んできた生物兵器です」という設定ですよ。
もうね「ふざけんな」でしかない。違うだろと。
ウルトラマンって 捨てられた原爆とか、金星に行ってた人工衛星が 猛スピードで帰ってきたとか 訳の分からんところから突然怪獣が現れて 「いつ怪獣が出てくるのか分からない」という恐怖心を植え付ける所が良いのに、怪獣の怖さの根底にある部分を 勝手に改変するんじゃないよと。
それも香川照之みたいなクセのある俳優が送りこんできていましたと言うなら まだ説得力があったけど、山本みたいなメフィラスに言われても「お前じゃ無理だよ」としか思わない。
唯一の救いは格闘シーンだけど…
そうは言ってもウルトラマンの本質は 怪獣とウルトラマンのプロレスなわけです。
ここさえ良ければ後はオマケみたいな所があります。ところが 今回のウルトラマンの格闘シーンは50点です。
まず怪獣が都心近郊に出てきているのに 陸自や空自は大人しくしており、街もてんやわんやになったりしません。
シントラの陸自は わざわざ怪獣の出現地近くに行って テントの中で 養鶏場みたいに自衛官達が密集して パソコン叩いて「怪獣あっちに行ってますね」とネットサーフィンするだけだし、公安がやってきたら「はい指揮権移動しまーす」とか カカシでしかない。
さらに今までのウルトラマンって
怪獣登場⇢防衛隊が出る⇢全部怪獣に倒される⇢市民がパニック⇢ウルトラマン登場
この流れでいいのに シンウルトラは
怪獣が出る⇢ウルトラマン出動
このバカさ加減です。タメも何もない。進撃の巨人の失敗で一体何を学んだんだと。尺が無いなら怪獣を減らしてくれよと。
おまけに 今回のウルトラマンは ご時世に配慮して 放射能を吸い取り、SDGSに配慮して怪獣と戦った後は 掃除までしてくれます。 全方位に気を配ったバトルシーンで実にくだらないです。
映画なんだから、怪人の光線をウルトラマンが跳ね返して国会議事堂が全部吹き飛ぶくらいのスケールでやってくれてもいいように思います。
低予算のシン・ウルトラマン
今回の作品はシンゴジに比べると 絵が貧乏で、室内で喋るシーンが続きます。
怪獣がせっかく暴れてるのに エキストラさんが出てこないので、怪獣に対して街の人がどう思っているのかが まるで伝わってきません。
電車が急に止まって真っ暗になったりだとか、信号が倒れたりだとか 土中の水道管が盛り上がって破裂して噴水が出来て市民がパニックになる絵とか下さい。
怪獣も戦車、装甲車、戦闘ヘリを何台か潰して、司令部を2つばかり焼いて、マスコミヘリが怪獣の回りを飛び回ったりしないと 人間の力ではどうにもならない「怪獣」の緊迫感を持たないわけです。シンゴジラは ちゃんと総理を丸焼きにして偉い。
ウルトラマンが都心で戦っているシーンでも ビルの電気が全部ついていたりで まるでリアリティが無いわけなんですよね。怪獣が暴れている横で電気つけてオフィスで仕事するバカがいるんですかと。
唯一の救い
もうね、この映画で一番良かったのはザラブ星人。登場のタイミングも良かった。何を考えているのか分からないという宇宙人の驚異をうまく表現してました。なんならシン・ザラブでも良かった。
庵野成分が足りないなら見ないで正解の法則
この作品のテーマは何なのかはさっぱり分からなかった。
先進的な力を持ったウルトラマンに対して日本人がどう関わっていくのか、技術情報を強要するアメリカとの対立も含めて もっと掘り下げても良かっただろうし、軍事力で圧倒的な力を持った相手に 思考停止して開き直って支配されて搾取されて流されるだけの日本とか、そういう姿を提示しても良かったわけですよ。
ところが 思い出おじさん 思い出じいさんに配慮した結果、余計な要素を並べすぎ、それがお互いに邪魔しあって まとまらないまま時間が来て終了。
シン・ゴジラは 驚異に対してグダグダして決められない日本という一本の線で見れたけども、シンウルトラマンは ゴジラが興行的に当たったので 特撮ワールドを横に広げて金儲けしたかった 自分たちが好きな怪獣を動かしたかったってのが本当のところなんじゃないかという気がするくらいに 何も感じるところのない作品でした。
そんなわけで 庵野さんのシン・仮面ライダーに期待です。